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依存症のメカニズムとカウンセリングによる解消法

 

依存症のメカニズムとカウンセリングによる解消法

依存症の分類とメカニズム

依存症は三つのジャンルに大別できます。

① 物質依存

<特定の物質に陶酔する依存>
アルコール、覚せい剤・大麻・シンナーなどの薬物、ニコチン

② プロセス(行為過程)依存

<特定の行為をすることによって快感・スリルを求める依存>
ギャンブル、窃盗、ゲーム、パチンコ、買い物、インターネット、セックス

③人間関係依存

<他人への依存>
身近な依存症者への依存(共依存)、スマホ・携帯、メール、恋愛

私の恩師である斎藤学医師は、依存症の概念をかなり広げて、不登校、引きこもり、摂食障害なども依存症の病理としてとらえています。不登校や引きこもりは、家・部屋(子宮を象徴)への依存、摂食障害は食べ物への依存ということです。

依存症は多種多様ということで、細かく言えばそれぞれの依存症の特有の病理的メカニズムというものもありますが、いずれの依存症の場合でもその病理の根底には、幼少期の家族関係(特に母親との関係)の歪みから生じた心の虚しさ、寂しさというものがあるのです。

その心の空洞を依存行為によって埋めようとするのですが、一時的な快楽は得られるものの、その快楽は長くは続きません。そうするとさらに依存行為を繰り返すことになり、依存症の深みにはまっていくのです。

AAの自助グルーブの発足

依存症の中で大昔から知られ、きわめて深刻なものはアルコール依存症です。アルコール依存症の基本的なメカニズムは先に述べたとおりですが、、ストレスフルな現代社会のひずみから生じたものという側面もあると思います。
20世紀初頭にアメリカは資本主義社会のリーダーとなりつつありましたが、1929年に世界恐慌が起き、アメリカの都市には失業者が溢れ、アルコール依存症が蔓延したといいます。そのような時代背景の中、ビル(ウィリアム・ウィルソン)はニューヨークのウォール街で金融業を営んでいましたが、やはり深刻なアルコール依存症に陥っていました。ある時、ビルは友人から誘われてオックスフォードグループ運動というキリスト教会の霊性復興運動に参加し、その集会の中で劇的で超自然的な癒しを体験し、アルコール依存症から解放されます。そして、1935年にアルコール依存症からの回復のための自助グループであるAA(アルコホーリクス・アノニマス/匿名のアルコール依存症者)を同志とともに発足させるのです。そして、あっという間にAAの自助グループは世界中に広まったのです。そしてさらに、薬物依存やギャンブル依存、過食症といった様々な依存症にもAAの自助グループが応用されていきました。依存症からの回復のためには、医学的な治療よりもキリスト教的な背景の中から生まれた自助グループの方が有効であることが経験的に分かっているのです。
日本では地方に行くと、AAのやり方を日本的に変容させた断酒会という組織の勢力が強いのですが、生活習慣が欧米化している都心部においては、やはり12ステップのプログラムを中心にしたAAのやり方が有効なようです。

12ステップのミーティング

AAなどの自助グループでは依存症の人々が集まり、12ステップのプログラムというものに基づいて繰り返しミーティングを行います。その第一ステップは自らの依存癖は自らの努力ではどうにもならないものであることを認め、他のメンバーに対してそのことを告白することから始まります。そしてさらに「大いなる力」「ハイヤーパワー」「自分が理解した神」といった超越的存在から回復のためのエネルギーをもらうことを懇願しつつも、自らの内面にある問題を整理する棚卸し作業を続けていくのです。
棚卸しというのは、家族関係のことを中心にして幼少期からの楽しかったこと、辛かったことなどの様々な体験を書きだし、心の整理をすることです。つまり、自己内省の作業です。

魂の家族

依存症者がもつ心の空洞は、幼少期からの家族関係の歪みの中から生まれるものです。精神科医の斎藤学は自助グループの本質を「魂の家族」といっているとおり、自助グループは、不健全な家族関係で育った依存症者たちが棚卸しを行い、秘密厳守のルールに基づいてお互いに内面をシェアすることを通して健全な家族関係を再学習する場であると考えられます。

個人カウンセリングの役割

ただ、自分自身のことは自分ではなかなか分からないものです。特に依存症の原因となっているような胎児期から幼少期の家族関係の中で生じたトラウマは抑圧されて無意識化されてしまっています。。その人の人生に大きな影響を与える根本的なトラウマはその人自身では思い出せないものなのです。自助グループに参加するとともに、個人カウンセリングも受けてセラピストからコメントをもらうことは棚卸し作業を深めるためにとても有効なことです。特に、元々FAPカウンセリングは、当人が気が付かないような意外なトラウマを発見し解消することに特化した技法として生まれたのもので、自助グループと併せて受けると大変効果的なものです。

心理相談室セラペイアでは、脳科学と東洋医学を統合した「FAP」という技法を中心にして、多種多様な依存症をはじめとした、さまざまな心の病気を治療・改善させるためのカウンセリングを行っています。

大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

 

  • スターピープル48号掲載記事
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