DVとは
DV(ドメスティックバイオレンス)とは、夫婦、或いはそれに準じるような配偶者間に生じる暴力行為のことです。
ドメスティック(domestic)とは「家庭の」という意味があるために、家庭内のすべての暴力行為をさすものととらえることもできますが、一般的には配偶者間の暴力行為に限定して使用する言葉です。
全般的には女性が被害者になることが多いのですが、近年の調査では男性が被害者になることも珍しくはないようです。
DVをしてしまう原因
次に、DVをしてしまう原因を解説していきます。
基本的には、以下の3つが挙げられます。
- ・DV家庭で育った
- ・ストレスがたまりやすい
- ・男性としてのプライドを傷つけられる
それぞれ確認してください。
原因①DV家庭で育った
当人が幼少期からDVのある家庭環境で育つと、その不穏な雰囲気が体にしみ込んでしまうものです。
そして、大人になって自分は平和な家庭を作ろうと思っても、無意識的に幼年期の環境を再現してしまい、DVが発生してしまうことが多いのです。
子供の頃のDVの被害者が大人になってDVの加害者になるということはよくあることなのです。
DVが発生するような機能不全家庭は、依存症の病理とリンクすることが多く、自らの意志の力だけで改善することは極めて困難です。
しかし、カウンセリングを受けて自らの内面を見つめることで悪しきパターンから脱皮することは可能です。
原因②ストレスがたまりやすい
自己表現がスムースにできずに、社会生活でストレスがたまりやすい人はDVを引き起こしがちです。
上司からパワハラを受けた…営業成績が伸びない…部下が思うように動いてくれない…
そのようなストレスの中で、イライラする気持ちがコントロールできなくなると家庭内でそのストレスを発散させることになります。
しかしながら、一度発散してもしばらくするとストレスがたまり、DVが繰り返されてしまいます。
心の構造上、そのような怒りは表面的二次的な感情であり、その根底にさらに別のネガティブ感情、例えば「見捨てられ不安」といったものがあり、それが自己表現の妨げになっていることが多いものです。
カウンセリングを受け、そのような心のメカニズムを自覚することでアンガーマネジメントが可能となります。
原因③男性としてプライドを傷つけられる
男はプライドの生き物です。
女性からそのプライドを傷つけられると、感情をコントロールすることができなくなることがあります。
妻の方が収入が多い、社会的な役職が上だという状況にあると暴力行為が発生することが多いものなのです。
二つの「し」つまり「士」或いは「師」のつく弁護士、会計士、医師、教師…といった職業に妻がついていると、男性はコンプレックスを感じてDVが起こりやすいといわれます。
或いは妻の実家が力をもっていて夫にプレッシャーをかけてくる場合でも同様なことが起こりえます。
カウンセリングによって自己価値観や自己肯定感を高めることが重要です。
DVがもたらす影響
人間は、抵抗・回避が実らないストレスに長期間さらされ続けると、抵抗・回避を諦めてしまうこと(学習性無力感と呼ばれる状態)が心理学的に解明されています。
DVによる理不尽なストレス状況をそのまま受け入れようとして「DVされるのは自分のせい」「DVは愛の裏返し」「これが運命なのだ」と認知を歪ませてしまうのです。
DVが頻繁に続いてしまうと、DVを解決していこうというエネルギーが失せてしまい、されるがままの状況になってしまうのです。
そして、DVはさらに深刻なものとなり、最終的には命を落とすということも珍しくありません。
このような状態に陥らないよう、DVを受けた場合の対処法も確認していきましょう。
- 1.DV被害を認める
- 2.安全を確保する
- 3.DVの証拠を集めておく
それぞれ解説していきます。
DV被害を認める
まずはDV被害を認めることです。
壁をバーンと叩いて威嚇する行為や侮蔑的な言葉による精神的な暴力もまたDV防止法(配偶者暴力防止法)の対象となっているのです。
「自分はDVされていない」「これはDVじゃない」という考えを一度やめて、DV被害を認めましょう。
DV被害を認めることは、愛されていないことを認める行為と同義ではありません。
正しく愛されるためにも、まずはDV被害を認めることから始めてください。
安全を確保する
次に安全を確保するようにしてください。
被害者はまず、自分や子供が安全であることを最優先に考えるべきです。
時には命が危険さらされるということもあるわけですから、シェルターなどで物理的に身を守ることは極めて重要なことです。
友人や近親者に助けを求めるということだけではなく、警察や支援団体に連絡し、保護や法的措置を取ることも積極的に考えましょう。
身の安全を確保することが最初の一歩となり、その後の支援や回復につながるでしょう。
DVの証拠を集めておく
DVを受けた場合、証拠を集めておくことが重要です。
被害が明らかになりやすく、法的手続きや支援相談に役立ちます。
写真やビデオ、メッセージやメールの保存、けがの診断書、目撃者の証言などの証拠を収集しましょう。
日付や時間、場所の記録も重要です。
証拠は秘密裏に保存し、安全な場所に保管しましょう。
夫婦の相性
DVとまではいかなくとも関係の不和で悩んでいる夫婦は多いと思います。
子育てや経済的な問題など夫婦間を揺るがす事柄はいろいろあるでしょうが、突き詰めていくとお互いの相性というものが深く関係しているのではないでしょうか。
性格の不一致で離婚したということがよくいわれます。
しかし、性格が違っていても(例えば、一方が外向的でもう一方が内向的な性格)かえってそれでうまくいっている夫婦は大勢います。
夫婦関係の問題は、性格というよりも相性の良し悪しといったものが関係することが多いのです。
相性とは、気が合うとか、合わないとかいうようなものでやや漠然とした感じがしますが、私のカウンセリングの経験では、相性には生まれつきの先天的な部分と生まれた後の後天的な部分の二つがあると思います。最初は好きで引かれあって結婚したのに、しばらくしたらどうもうまくいかなくなったというのは、表層の後天的な部分の相性は良かったので付き合うようになったのに、いっしょに住んでみると心のより深い部分の先天的な相性の違いが見えてきた結果であると考えられます。
DVの関係のカップルや家族がFAPカウンセリングを受けると…
FAPカウンセリングでは、カップルカウンセリングや家族カウンセリングも行っております。
ただ、家族の複数のメンバーが合意して共にカウンセリングを受けるというのは結構難しいことです。
また、後述するような支配力の強い人がカウンセリングの場に参加することでかえって混乱してしまうこともあります。
FAPカウンセリングの長所の一つは、家族の中の一人だけがカウンセリングを受けたとしても、家族のメンバー同士の相性が分かり、家族間の問題が明らかにされ、家族全体が癒されていくということです。
トラウマの覆いがとれてくると自分のことを客観的に見つめることができるようになり、自分のみならず相手のことも分かってくるのです。
自分と相手とは考え方や感じ方が違うんだから、お互いにある程度の距離感を保って生活していけば良いんだという気付きが、カウンセリングを通して生まれてきます。
つまり、相性が悪くてもそのことを自覚できれば夫婦生活を続けることは可能ということです。
それでも人間ですから時には喧嘩になることもあるでしょう。
そのような場合であっても、冷めた関係よりも感情を出し合ってホットな関係の方がいいんだというような感じになってくるものです。
もっとも夫婦のよりを戻すためにカウンセリングを始めたのに、自分と相手との決定的な相性の悪さに気がついてしまい、離婚した方がかえってお互いのために良いということになってしまうことも時にはあるのです。
カウンセリングを通して気付くDV家庭の「支配-被支配」の関係
そして、カウンセリングでは、相互の相性を扱うだけでは十分ではありません。
相性の問題と関連はあるのですが、さらに発展させて、家族のメンバーの潜在的な「支配-被支配」の力関係を見抜くことが重要なのです。
暴力を振るっている当人が支配者であるとはかぎりません。
かえって、暴力を受け止めている妻の方が実は夫を心理的に支配(共依存的支配)していることもあるのです。
或いは、夫婦間の問題に見えて、世代間連鎖ということでそれぞれの両親にも同様な問題があったとすれば、本当の意味での支配者はそれぞれの親のうちの誰かかもしれません。
さらに遡って言えば、親たちも祖父母によって操られているのかもしれません。
また、夫婦間の不和によって息子や娘に引きこもりや摂食障害などの問題が生じることもあります。FAPカウンセリングでは夫婦関係のみならず複雑な家族関係全般を解読しながら進めていきます。
心理相談室セラペイアでは、脳科学と東洋医学を統合した「FAP」という技法を中心にして、DVはじめとした、さまざまな心の病気や悩みを治療・改善させるためのカウンセリングを行っています。