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AC(アダルトチルドレン)の昔と今、そしてFAPカウンセリングによる対処療法

 

AC(アダルトチルドレン)の昔と今、そしてFAPカウンセリングによる対処療法

 AC(アダルトチルドレン)という言葉の成り立ちと広がり

アダルトチルドレンとは、元々「アルコール依存症の親の元で子供時代を過ごして大人になった人たち」(ACOA:Adult Children of Alcoholics)の意味です。
アダルトチルドレンという言葉は、1970年代にアメリカでソーシャルワーカーたちが使い出した言葉です。
彼らがアルコール依存症の患者のケアをしているときに、その家族のメンバーの中に情緒的な傷があって大人になっても社会生活に支障をきたしている人たちが多いことに気がついて、彼らのことをアダルトチルドレンと名づけたのです。
1981年にソーシャルワーカーで自身もアダルトチルドレンであるクラウディア・ブラックが「私は親のようにならない」という本を出したことからアダルトチルドレンのための自助グループが全米の至るところにできるようになりました。

ブラックはアルコール依存症に限らず、虐待、共依存、離婚、貧困などにより健全な機能を失った家族(機能不全家族)で育った人々の病理としてアダルトチルドレンをとらえていました。
少し砕いていうと、大人としての鎧の中に、傷付いたインナーチャイルド(内なる子供)をもっている人のことです。
そして、ビル・クリントン元大統領が自らをACであると大統領選挙中に明言して話題になりました。そのことでさらにアダルトチルドレンという言葉が有名になったのです。

日本でのアダルトチルドレンの概念

日本では80年代後半にブラックが来日してからアダルトチルドレンの概念が知られるようになり、私の恩師でもある斎藤学の著作によって広まることになりました。

斎藤は引きこもりや摂食障害なども依存症のカテゴリーに入れたことから、それに伴ってアダルトチルドレンという言葉の意味合いもかなり広いものになりました。
その人が何となく生きづらさを感じており、その原因が家庭環境にあると考えればその人はアダルトチルドレンということになるのです。

元々アダルトチルドレンという言葉は医学用語ではないために明確な定義がなく、一時期週刊誌などでもその意味合いを十分に把握しないままに安易に取り上げられていました。
また、アダルトチルドレン(AC)に限らず、日本社会の中で様々な心の病気をアルファベットの頭文字で表すこと(PTSDやADHDなど)に違和感をもつ人もいるでしょう。
しかしながら、何とか障害、何とか病とかいう深刻な印象を与える日本語よりも、軽い感じの英語のキーワードを使うことにより、「私もACだ」、「私の夫もACだ」という感じで多くの人たちが口を開くことができるようになったことは意味があると思います。

自分の問題を言語化して他者にシェアするところから癒しは始まるのです。アメリカでアダルトチルドレンという言葉が広まったために家庭内暴力や近親相姦といった問題が露見することになったように、日本でも家庭という密室の暗部に光が当てられるようになったのです。

アダルトチルドレンの自助グループ、認知行動療法

アダルトチルドレンという概念はかなり曖昧なものというお話をしましたが、いわゆる不安障害(PTSD、パニック障害、強迫性障害、全般性不安障害)や境界性パーソナリティ障害などの医学的なカテゴリーとそれらの予備軍を含むものがアダルトチルドレンといえるでしょう。
そして、そのようなアダルトチルドレンの病理に共通するのは、先に述べたとおり幼少期の家庭環境の問題なのです。

健全な家庭的連帯意識を取り戻すという意味において、アダルトチルドレンの人たちが集まり、自らの体験をシェアし、相手の話を聴いて共感し合う自助グループは大変有効なものです。
ただ、家庭内で起きた根深いトラウマを自助グループの中ですべて見つけるのは難しいことです。
自助グループでは棚卸し作業というかたちで自らの生い立ちを振り返る作業があるのですが、自己内省だけでは、無意識の底に沈んでいる本当のトラウマを見つけることはできないのです。
或いは認知行動療法で間違った思考パターンに気が付いて行動を切り替えていくといったことも有効かと思いますが、やはり幼少期のトラウマをカウンセリングを通して解消しなければ根源的な解決は難しいものです。

FAPカウンセリングでのACからの回復のイメージ

FAPカウンセリングでは、その人が生きづらさを感じている本当の原因にフォーカスします。
幼少期からさらに遡りバーストラウマ(胎児期のトラウマ)にまで行き着くことも多いのです。

心の表面に雲をかけているトラウマを取り去ることによって、抑圧されていたインナーチャイルドが開放されていきます。
そうすると、そのインナーチャイルドのさらに内側に元々備わっていたその人本来の生き方が自ずと表面に引き出されてくる、その人らしさが発揮されてくる。
それが私の抱いているACからの回復のイメージです。そして、FAPカウンセリングはそのための最適なツールです。

心理相談室セラペイアでは、脳科学と東洋医学を統合した「FAP」という技法を中心にして、アダルトチルドレンをはじめとした、さまざまな心の病気を治療・改善させるためのカウンセリングを行っています。

大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

DV解消のためには家族・カップルでカウンセリングを受けるのがおすすめ

 

DV解消のためには家族・カップルでカウンセリングを受けるのがおすすめ

DVとは

DV(ドメスティックバイオレンス)とは、夫婦、或いはそれに準じるような配偶者間に生じる暴力行為のことです。
ドメスティック(domestic)とは「家庭の」という意味があるために、家庭内のすべての暴力行為をさすものととらえることもできますが、一般的には配偶者間の暴力行為に限定して使用する言葉です。
全般的には女性が被害者になることが多いのですが、近年の調査では男性が被害者になることも珍しくはないようです。

DVのパターン

DVには世代間連鎖というものがあるといわれます。父親が母親に暴力を振うのを見て育った息子が「父親のようには絶対にならない」と思っていても、自分が結婚したら妻に対してやはり父親のような加害者になっていたというものです。
また、同じくそのような環境で育った娘が、やはり暴力をふるう男性と無意識的に結びついてしまうといったことが起きるのです。

DVの理由が何であれ、その暴力が激しいものであり生命の危機があるとすれば、まず何よりも物理的な安全を確保する必要があります。
お酒を飲んで暴力を振るったのに、酔いがさめたらそのことを忘れてしまっている(病的酩酊)というようなことであれば特に危険です。
週に一回のカウンセリングを続けていればいいなどと流暢なことはいっておられず、なんとしてでもまず身を守ることが先決です。

DVは火山活動のようなもので、爆発の後にしばらく休止期間、つまり、平穏な期間があることが多いものです。
しかし、油断は禁物です。その間も心の中で怒りのマグマが少しずつ貯まっているのです。そして、またある時にドカーンということになるのです。
また、暴力を振るわれる女性には、2つの「シ」の字、「師」もしくは「士」の字がつく資格(教師、弁護士など)をもっていて社会的に地位がある人が多いといわれています。
つまり、夫より妻の方が収入が多いとか、役職が上だとかいうようなことがあると男性のプライドが傷付いてしまって暴力行為に及んでしまうということなのです。
或いは妻の実家が力を持っていて夫にプレッシャーをかけてくるような場合でも同様なことが起こりえます。

そして、そのような暴力を振るう男性は、必ずしもプロレスラーのような筋骨隆々の人ではなくて、むしろ普段は大人しく人当たりのいい人が多いようです。

夫婦の相性

DVとまではいかなくとも関係の不和で悩んでいる夫婦は多いと思います。
子育てや経済的な問題など夫婦間を揺るがす事柄はいろいろあるでしょうが、突き詰めていくとお互いの相性というものが深く関係しているのではないでしょうか。

性格の不一致で離婚したということがよくいわれます。
しかし、性格が違っていても(例えば、一方が外向的でもう一方が内向的な性格)かえってそれでうまくいっている夫婦は大勢います。
夫婦関係の問題は、性格というよりも相性の良し悪しといったものが関係することが多いのです。

相性とは、気が合うとか、合わないとかいうようなものでやや漠然とした感じがしますが、私のカウンセリングの経験では、相性には生まれつきの先天的な部分と生まれた後の後天的な部分の二つがあると思います。最初は好きで引かれあって結婚したのに、しばらくしたらどうもうまくいかなくなったというのは、表層の後天的な部分の相性は良かったので付き合うようになったのに、いっしょに住んでみると心のより深い部分の先天的な相性の違いが見えてきた結果であると考えられます。

DVの関係のカップルや家族がFAPカウンセリングを受けると…

FAPカウンセリングでは、カップルカウンセリングや家族カウンセリングも行っております。
ただ、家族の複数のメンバーが合意して共にカウンセリングを受けるというのは結構難しいことです。
また、後述するような支配力の強い人がカウンセリングの場に参加することでかえって混乱してしまうこともあります。

FAPカウンセリングの長所の一つは、家族の中の一人だけがカウンセリングを受けたとしても、家族のメンバー同士の相性が分かり、家族間の問題が明らかにされ、家族全体が癒されていくということです。
トラウマの覆いがとれてくると自分のことを客観的に見つめることができるようになり、自分のみならず相手のことも分かってくるのです。

自分と相手とは考え方や感じ方が違うんだから、お互いにある程度の距離感を保って生活していけば良いんだという気付きが、カウンセリングを通して生まれてきます。
つまり、相性が悪くてもそのことを自覚できれば夫婦生活を続けることは可能ということです。
それでも人間ですから時には喧嘩になることもあるでしょう。

そのような場合であっても、冷めた関係よりも感情を出し合ってホットな関係の方がいいんだというような感じになってくるものです。

もっとも夫婦のよりを戻すためにカウンセリングを始めたのに、自分と相手との決定的な相性の悪さに気がついてしまい、離婚した方がかえってお互いのために良いということになってしまうことも時にはあるのです。

カウンセリングを通して気付くDV家庭の「支配-被支配」の関係

そして、カウンセリングでは、相互の相性を扱うだけでは十分ではありません。
相性の問題と関連はあるのですが、さらに発展させて、家族のメンバーの潜在的な「支配-被支配」の力関係を見抜くことが重要なのです。

暴力を振るっている当人が支配者であるとはかぎりません。
かえって、暴力を受け止めている妻の方が実は夫を心理的に支配(共依存的支配)していることもあるのです。
或いは、夫婦間の問題に見えて、世代間連鎖ということでそれぞれの両親にも同様な問題があったとすれば、本当の意味での支配者はそれぞれの親のうちの誰かかもしれません。

さらに遡って言えば、親たちも祖父母によって操られているのかもしれません。
また、夫婦間の不和によって息子や娘に引きこもりや摂食障害などの問題が生じることもあります。FAPカウンセリングでは夫婦関係のみならず複雑な家族関係全般を解読しながら進めていきます。

心理相談室セラペイアでは、脳科学と東洋医学を統合した「FAP」という技法を中心にして、DVはじめとした、さまざまな心の病気や悩みを治療・改善させるためのカウンセリングを行っています。

大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

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