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心理学コラム

適応障害とは?種類や症状とカウンセリングの有効性などを解説

「適応障害にカウンセリングは有効?治療方法は?」
「適応障害になりやすいケースや人の特徴は?」
「適応障害の方に対する接し方が知りたい」
何かとストレスの多い現代、カウンセリングのハードルは以前よりも下がりはしましたが、まだまだ行き届ききっていないことも確かです。

本記事では、適応障害に関する冒頭の疑問について解説していきます。
自分や周りの方の適応障害に悩む方、カウンセリングを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

適応障害とは

適応障害は、個人が重大なストレスや大きな人生の変化に適応できず、それに伴って心理的な苦痛や機能の低下が生じる精神疾患のことです。
たとえば、転職、離婚、大切な人との永訣などが原因となることが多いです。
症状は抑うつ、不安、睡眠障害、集中困難など多岐にわたり、これらが社会生活や仕事、学業に支障をきたします。

短期間で自然に改善することもありますが、ときには専門の治療が必要になることもあります。
適切なサポートと治療によって、健康を取り戻すことが可能です。

適応障害の症状

次に、適応障害の症状をより詳しく解説していきます。
細かな症状はいくつかありますが、大きく分けると以下の2つから見ることができます。

  • 情緒面
  • 行動面

それぞれ見ていきましょう。

情動面

適応障害は精神疾患であるため、基本的には情緒面での症状が多く見られます。
具体的には、以下のような感情が過度に見られることが一般的です。

  • 抑うつ気分
  • 不安
  • 怒り
  • 焦り
  • 緊張

行動面

行動面での症状が見られることも少なくありません。
具体的には、以下のような行動が見られます。

  • 過度な飲酒や暴食
  • 無断欠席・無断欠勤
  • 攻撃的な行動(喧嘩っ早くなる、イライラしやすく人にあたる、暴走運転など)

適応障害になりやすいケース

次に、適応障害になりやすいケースを紹介します。
ここではわかりやすく、以下の2場面に分けて解説していきます。

  • 仕事
  • プライベート

適応障害は、明確な原因となる出来事や状況があることが特徴です。
それぞれケースを3つずつ紹介していきます。

ケース①仕事

まずは、仕事において適応障害になりやすいケースから見ていきましょう。

  • 上司や同僚との人間関係がうまくいっていない
  • 業務でミスが多く心的負担が大きい
  • 新しく配属された部署の環境になじめない

ケース②プライベート

次に、プライベートにおいて適応障害になりやすいケースを見ていきましょう。

  • 友人との人間関係がうまくいっていなかったりそもそも友人がおらず悩んでいる
  • 家族と不仲である
  • 失恋や離婚、経済的不安などの状況にある

適応障害になりやすい人の特徴

ここからは、適応障害になりやすい人の特徴を見ていきましょう。
基本的には以下の3つが挙げられます。

  • ストレス耐性が低い
  • 責任感が強い
  • 人からの依頼を断れない

当然、これらに当てはまるからといって、必ず適応障害になるわけではありません。
どれも一面を切り取れば長所になりうる特徴です。

それぞれ、適応障害になりやすい理由を見ていきましょう。

特徴①ストレス耐性が低い

ストレス耐性が低い人は、小さなプレッシャーや変化にも強く反応し、過度に緊張や心配を感じやすい傾向があります。
これにより、精神的な不調を起こしやすく、適応障害を発症するリスクが高まります。

特徴②責任感が強い

責任感が強い人は、自らの肩にかかる負担を重く感じたり、失敗を避けるために極度のプレッシャーを感じたりすることが多くなります。
その結果、日々のストレスが積み重なり、心身の不調を引き起こすことがあり、適応障害を発症する傾向があります。

特徴③人からの依頼を断れない

人からの依頼を断れない方は、過剰な責任を負うことでストレスが溜まりやすく、それが折り合いを付ける能力に影響を及ぼすことがあります。
それによって、状況に適切に対応できず、適応障害を発症するリスクが高まります。

適応障害の治療方法

ここからは、実際に臨床の場で行われている適応障害の治療方法を紹介します。
基本的には、以下の3つの方法が取られます。

  • 休養
  • カウンセリング(心理療法)
  • 薬物治療

これらは複合的に行われる点も特徴です。
それぞれ解説していきます。

休養

適応障害によって、ストレスがたまると、心だけではなく身体的な変調をきたすことがあります。
十分な休息と質の良い睡眠をとることが必要です。
規則的な生活を心がけて食生活のバランスにも気をつけましょう。

適度な休息やリラックスが心身の免疫力を高め、思いがけない解決策がひらめくこともあります。

カウンセリング(心理療法)

カウンセリングでは、カウンセラーが話を聴き、ストレスの原因を理解し、解決策をともに考えてくれます。
この過程で、自己理解が深まり、適応力を高めましょう。
また、必要に応じて心理検査も行います。
これによって、より体系的な視点からの改善が見込まれるでしょう。

薬物治療

適応障害の薬物治療としては、主に抗不安薬や抗うつ薬が処方されます。
これらの薬は、患者様のストレスによる心身の症状を軽減させ、日常生活を送りやすくするために役立ちます。

ただし、薬物治療のみではなく先述のカウンセリングと複合的に行われるのが一般的です。

適応障害とうつ病の違い

適応障害の症状はうつに近いですが、DSM-5(心療内科や精神科で用いられる診断マニュアル)において、実は「心的外傷およびストレス因関連障害群」に分類されています。
つまり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などに近いということです。

一方、うつ病の分類は「抑うつ障害群」であり、気分障害の一種です。
これらの大きな違いは、名前の通りです。

  • 心的外傷およびストレス因関連障害群:明確かつ具体的な心的外傷対象がある状態
  • 抑うつ障害群(気分障害など):明確な理由がなくとも気分が過度に落ち込む状態

もっとも、適応障害からうつ病を発症したり、逆にうつ病から適応障害の症状が生じてしまうこともあります。
心の問題は複雑で流動的なものなのです。

適応障害の方に対する接し方

最後に、適応障害の方に対する接し方について解説して終わります。
重要なポイントは以下の3つです。

  • 過度な干渉をしない
  • 必要以上に励まさない
  • 聞き上手になる

それぞれ見ていきましょう。
どれも重要なので、適応障害の方と接する際はぜひ意識してみてください。

過度な干渉をしない

適応障害の方への過度な干渉は避けた方がよいでしょう。
自立を尊重し、本人が望むときに適切な支援を提供することが重要です。
無理に介入せず、心地よい距離感を保つことが大切です。

必要以上に励まさない

適応障害の方に対して、過剰な励ましは逆効果を招くことがあります。
無理に前向きにさせようとすることは控え、本人の感情を尊重し、静かに支える姿勢が大事です。
楽しそうなときはともに目一杯楽しみ、辛そうなときは受容と傾聴を意識しましょう。

聞き上手になる

適応障害の方と接する際は、アドバイスを急ぐのではなく聞き手に徹しましょう。
話を丁寧に聴き、感情を共有することで、心理的な安心感を提供できます。
回復のペースまで尊重することが大切です。

適応障害はカウンセリングが有効

適応障害の特質について、みてきました。
環境の変化に適応できず、日常生活に支障をきたすという適応障害の症状は、結構多くの人たちが多かれ少なかれ経験していることではないでしょうか。
ただ、適応障害の背景には、その人個人の性格、気質、家庭環境、生い立ちなどが関係しますので、一人ひとり解決への道は違うものなのです。

カウンセリングでは、カウンセラーがあなた個人の心の中にある悩みや葛藤をじっくりと聴いてくれるでしょう。
そのうえで、ストレス源との向き合い方や、感情のコントロールの仕方、日常生活における過ごし方のアドバイスが受けられます。

心理相談室セラペイアでは、脳科学と東洋医学を統合した「FAP」という技法を中心に、人間不信解消をはじめとした、さまざまな心の問題を治療・改善させるためのカウンセリングを行っています。
大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

PTSDとは?種類や症状とカウンセリングの有効性などを解説

「PTSDにカウンセリングは有効?」
「PTSDの判断基準や原因・症状について知りたい」
「そもそもPTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?」
何かとストレスの多い現代、カウンセリングのハードルは以前よりも下がりはしましたが、まだまだ行き届ききっていないことも確かです。

本記事では、PTSDに関する冒頭の疑問について解説していきます。
PTSDに悩む方やカウンセリングを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは

PTSDとは心的外傷後ストレス障害とも呼ばれる後天性の疾患、病態です。
生命を脅かすほどの恐怖と無力感を経験し、その経験によってさまざまな身体的・精神的な症状が現れることを指します。

なお、PTSDと呼ばれるのは症状の持続期間が1ヶ月を越える場合であり、1ヶ月以内の場合はASD(急性ストレス障害)という風に呼称が区別されています。
PTSDとはトラウマ体験の後の後遺症が続いてしまう状況のことなのです。

PTSDの判断基準

PTSDの判断基準は、以下の3つです。

  • 原因として考えられる心的外傷体験がある
  • PTSDの症状が発現している(症状の詳細は後述)
  • 発現した症状の持続期間が1ヶ月以上である

PTSDの種類

一口にPTSDといっても、その種類は以下の2つに分類されます。

  • 単純性PTSD
  • 複雑性PTSD

それぞれの特徴を、比較しながら確認してください。

単純性PTSD

単純性PTSDは、タイプⅠのトラウマによって引き起こるPTSDです。
タイプⅠのトラウマとは、単発で起こるトラウマであり、交通事故・地震などの自然災害が当てはまります。
薬物療法や心理療法が有効です。

複雑性PTSD

複雑性PTSDは、タイプⅡのトラウマによって引き起こるPTSDや、単純に「単純性PTSDに分類されないPTSD」を指します。
タイプⅡトラウマのトラウマとは、長期間繰り返し遭遇することで起こるトラウマを指します。
長期間に及ぶ虐待、DV、いじめ、カルト集団でのマインドコントロールなどが当てはまります。

現在のPTSD研究は単純性PTSDに関するものが多いですが、単純性PTSD以外のPTSDはすべて複雑性PTSDといっていいでしょう。

PTSDの原因

PTSDに陥る詳しいメカニズムは研究途中ですが、生命を脅かすほどの恐怖と無力感を経験することが直接の原因になっています。
PTSDは、生か死かの極限状態にさらされたベトナム戦争の帰還兵の多くが、帰還後も無力感や絶望感を訴えたことから注目が集まりました。
日本では、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件をきっかけにPTSDが注目されるように。

ここで重要視されたのが、アウトリーチ(相談室でクライエントを待つだけでなく、臨床心理士が被災地などに直接出向き、積極的に関わっていくこと)です。
このアウトリーチによって、PTSDの早期発見と介入が可能となりました。
患者が、PTSDの症状は誰でも起こり得る反応と知り、早期に適切な治療を受けることにより、慢性化と深刻化を予防できます。

PTSDの症状

次に、PTSDの症状について見ていきましょう。
一般的には、以下の4つが挙げられます。

  • 再体験(フラッシュバック)
  • 回避
  • 否定的感情と認知
  • 過覚醒

それぞれ詳しく解説していきます。

なお、これら症状はすべてが発現するわけではありません。
個人差があることに留意してください。

再体験(フラッシュバック)

まず1つ目の症状は「再体験」です。
フラッシュバックとも呼ばれ、もっとも知られるPTSDの症状ではないでしょうか。

これは、心的外傷体験を受けたときの状況が自らの意志とは無関係に想起され、夢に見たり、今現実に起こっているかのように感じられてしまうことです。
たとえば、何の気なく歩いていたり人と話していたりするときに、急に意識が3.11東日本大震災での心的外傷体験最中にタイムスリップしたかのように、津波が押し寄せてくる恐怖を再体験してしまいます。

回避

次に紹介する症状は「回避」です。
これは、心的外傷体験に関係する思考や感情、場所や人物を避けて、心的外傷から目をそむけることを指します。
周囲への関心が薄くなり、肯定的感情が少なくなる点が特徴です。

たとえば、以下のような事例が挙げられます。

  • 電車で心的外傷体験を受けた人が、以後電車に乗れなくなる
  • 心的外傷に怯え、日常生活において好奇心を持つことが怖くなる・持てなくなる

否定的感情と認知

次に紹介する症状は「否定的感情と認知」です。
これは、その名の通り、認知や感情に否定的な変化が現れる症状を指します。

具体的には以下のような事例が挙げられます。

  • 外傷となった出来事の重要な局面を思い出せないー時的健応
  • 興味や関心の大幅な低下・喪失
  • 罪悪感などの感情の持続
  • 配偶者・恋人・家族との関係疎遠

過覚醒

最後に紹介する症状は「過覚醒」です。
これは、緊張のために睡眠困難になったり、警戒心が強くなって強い不安を抱いたりする症状です。
怒りを爆発させたり、集中が困難になったりといった症状が該当します。

こうした症状以外にも、PTSDの人は「自分だけが助かり、他の人を助けられなかったことに対する強い罪悪感や無力感」を持っていることが往々にしてあります。

PTSDと合併しやすい疾患

次に、PTSDと合併しやすい疾患を一覧で紹介します。

  • 抑うつ障害
  • 双極性障害
  • パニック障害
  • 不安障害
  • 摂食障害
  • 物質使用障害
  • パーソナリティ障害
  • 素行症

PTSDの方と接するときに気を付けること

PTSDの方と接するときに気を付けることとしてもっとも重要なのは、心的外傷体験やそれを想起させる話題・場所には安易に触れないことです。
とはいえ、避けようとしていることが本人に悟られても、逆に想像させてしまいます。

また、PTSDの方は、刺激に過剰になっているケースが多々あります。
何げなく発した一言がトラウマと結びついてしまうこともあります。
その方の表情や態度から内面を察してあげることが必要なのです。

PTSDの治療法

最後に、PTSDの治療法について解説していきます。
基本的には、以下の4つが取られます。

  • 心理療法
  • 環境調整
  • 薬物療法
  • TMS治療

これらを複合的に取り入れつつ、カウンセリングを織り交ぜて治療していきます。
それぞれ特徴を見ていきましょう。

心理療法

PTSDの援助として、まずは症状や経過に対する適切な心理療法が挙げられます。
どんな症状が予期されるか患者自身が知り、改善への期待を育成することが重要です。

具体的には、以下のような治療が行われます。

  • エクスポージャー:恐怖の対象となる対象に徐々に直面し、馴化させていく方法。
  • EMDR (Eye Movement Desensitizationof Reprocessing):眼球運動を活用しPTSDを対象とした認知行動療法。心的外傷体験を想起しながら、治療者の指の運動を目で追うことで、弛緩状態を作り出す方法。
  • 遊戯療法:遊戯を通して治療していく方法。子供の場合に採用されることが多い。

環境調整

次に紹介するのが、環境調整です。
環境調整は、ストレスの原因となっている環境を避けたり変えたり適応方法を考えたりといった方法です。
職場や家庭、学校、人間関係などが対象になります。

薬物療法

薬物療法も、症状に応じて複合的に用いられます。
具体的には、不安症状や抑うつ症状を伴う場合、SSRIやSNRIなどの抗不安薬・抗うつ薬を用います。

TMS治療

まだまだ研究中ではありますが、近年PTSDに対するTMS治療効果が報告されはじめています。
なかでも、以下のプロトコルによる改善報告が多く、今後の研究が期待されます。

  • 右背外側前頭前野への低頻度刺激
  • 左背外側前頭前野への高頻度刺激(うつ症状が目立つ場合により有効か)

PTSDにもカウンセリングは有効

今回は、生命を脅かすほどの恐怖と無力感を経験した際にさまざまな身体的・精神的な症状が現れるPTSD(心的外傷後ストレス障害)について解説してきました。
PTSDの症状は「再体験」「回避」「否定的感情と認知」「過覚醒」の4つです。
それらの症状に対して薬物療法や環境の調整もある程度は有効ですが、PTSDが生じたときの状況をまず言葉にすることから、根本的な解決につながります。

心理相談室セラペイアでは、カウンセリングの中で上記の心理療法を網羅したFAP(Free From Anxiety Program)という最新のトラウマ治療を行っており、PTSDからの解放に実績を上げています。
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