トップページ > 心理学コラム

心理学コラム

高校生の不登校をカウンセリングで解決したい方へ

不登校については、日本においては否定的な意見、容認的な意見、中立的な意見が混在して、社会的な対応は一定したものではありません。
少なくとも、不登校は病名ではありませんので、悪いと決めつけることではないのです。
また、高校は義務教育からは外れることもあり、小学生や中学生の不登校ほどは大きな問題にはならない傾向があります。
しかしながら、やはり「登校したいのにできない」と思い悩む生徒が多いことも事実です。
本記事では、不登校の支援とカウンセリングについて、詳しく解説していきます。
不登校は、一種の引きこもりということでもありますので、本人がカウンセリングの場に現れずに、親相手のカウンセリングになることも多いのです。
また未成年ということで親同伴のカウンセリングになることもあります。
以下の文章はそのようなケースを踏まえてのものです。
不登校を支援するカウンセリングの具体的な効果や、カウンセリングを受けるのに適切なタイミングなども解説します。ぜひご参考ください。

高校生の不登校はカウンセリングで解決できるのか?

カウンセリングにおいては、不登校そのものを解決するのではなく、その原因を見極めることがまず必要です。
多くの場合、当人には心の問題や発達障害があって、それが原因で対人関係がうまくいかなくなったり、学業に集中できなくなったりして不登校になるものなのです。
カウンセリングでは、まず当人の悩みを傾聴しつつ、過去の成育歴に遡って生きづらさの要因を明らかにしつつ、本人のモヤモヤした感情を言語化するように導きます。
そして、本人が将来どういう方向に進みたいのか、何がしたいのかを見極めてその方向性を支持していきます。
当人が自分の問題を理解し、将来の方向性が見えてくると、結果的に高校生活に戻ることが多いものなのです。
本人のプライベートを守りつつ、担任教師や保護者とも適切なコミュニケーションを図り、必要に応じて精神科クリニックや心療内科などの医療機関との連携もしながら総合的なサポートを行います。

不登校を支援するカウンセリングの効果

次に、不登校を支援するカウンセリングの効果を解説していきます。
ここでは、以下の3つの効果について見ていきましょう。

  • 本人の問題の本質が分かる
  • 本人が本当にやりたいことに気付く
  • 人生について新たな視点をもてる

本人の問題の本質が分かる

多くの場合、当人の心の問題や発達障害が不登校のトリガーになっているものなのです。
うつ病、対人恐怖、社会恐怖、パニック障害、統合失調症、あるいは、自閉症スぺクトラム障害やADHD…
そのような心の問題や発達障害の病理があると、対人関係がうまくいかず、学業にも支障がでてしまうものです。
思春期後半にあたり自我意識が発達してきた高校時代は、中学時代以上にそのような問題が顕在化する傾向があります。
さらに多感な成長期ということで心身ともに不安定になりがちな時期でもあり、単に心の問題ということではなくそれ以外のさまざまな要因が影響していることも考えられます。
ジャンクフードのような食生活が鬱症状を引き起こしたり、スマホやPCから生じる電磁波の影響でイライラしたり、家庭内の経済状況が背景にあることもあります。
カウンセリングでは、そのような環境要因にも目を向けつつ、当人の悩みを傾聴し、過去の成育歴に遡って、本人のモヤモヤした感情を言語化するように導きます。

本人が本当にやりたいことに気付く

「カウンセリングはただ話を聞いてもらってストレスを発散するためだけのもの」「カウンセリングは何かしらのアドバイスや解決策をもらうためだけのもの」という印象を持っている方も多くいますが、実はカウンセリングの本質は「相談者自らが、カウンセラー相手に話すうちに考えが整理されて、自分の気持ちとの付き合い方や解決法に気づくこと」なのです。
もちろん個人差はありますが、高校生になり語彙力が増していますから、自らの気持ちをかなり言葉で表現できるようになっています。
自らの悩みを言葉で表現できるようになると、客観的に自らが置かれている状況が理解されて、自らの行動を選択することができるようになっていきます。
カウンセリングでは、当人の主体性を引き出すアプローチが有効なのです。
本人が将来どういう方向に進みたいのか、何がしたいのかを、カウンセラーの側でも見極めてその方向性を支持していきます。

人生について新しい視点がもてる

家族や学校の先生などは、日々日常的に接している身近な人たちです。
そのような人たちは、生徒のことをよく理解していると思っていても、ときには近視眼的になりがちであり、今まで何も問題なく育ってきた子供が急に不登校になったりすると、どうしたらいいのかと戸惑い煮詰まってしまうことが多いのです。
そのようなときに、カウンセラーという第三者が介入することで、思わぬ解決の糸口が見えてきたりするものなのです。
カウンセリングを通して現在直面している不登校の問題とはまた別の家族の問題、例えば、両親の不仲といった問題がみえてきて、むしろその問題が解決することで不登校が解消することもあります。
またカウンセラーの視点から、当人が今まで気が付かなったタラントや長所が見えてきて、そのことで自信をもち元気になることもあります。
カウンセラーとの対話を通じて、生徒は自らが抱える感情や思考の深層にアクセスし、自己成長や自己変容のチャンスが得られるのです。
そして、これからさらに進学或いは就職という状況に直面しても、カウンセリングによって問題処理能力やストレス耐性が増していけば、主体的に冷静に対処できるようになるのです。

不登校に対するカウンセリングの必要性

ここからは、不登校に対するカウンセリングの必要性を、以下2つの観点から解説していきます。

  • 解決策の提案をしてくれる
  • 親子関係を改善してくれる

それぞれ確認してください。

解決策の提案をしてくれる

不登校に対するカウンセリングの必要性のひとつが「解決策の提案をしてくれる」という点です。
先ほど「カウンセリングの本質は、相談者自らが、人に話すうちに考えが整理されて自分の気持ちとの付き合い方や解決法に気づくこと」と話しましたが、もちろん生徒の問題や悩みに対する適切な解決策の提案もしてくれます。
まず、カウンセラーは生徒との対話を通じて問題の深層を探ります。
生徒の心情や思考を理解し、背景や原因を明らかにすることで、専門的な知識も踏まえて的確な解決策の提案が可能となるわけです。
カウンセラーは、客観的な視点から生徒の状況を分析し、適切な提案や指導を行ってくれます。

親子関係を改善してくれる

不登校に対するカウンセリングの必要性には「親子関係の悪化を防げる」という点も挙げられます。
先に述べたとおり、不登校の背景には、両親の不仲などの家庭内の問題があることが多いものです。
不登校の問題が表面化してきたということは、すでに家族関係にアンバランスが生じている可能性があります。
カウンセリングでは、生徒と親の双方を対象として、コミュニケーションの改善や理解促進を図ることが可能です。
ただ高校時代は反抗期にあたりますので、必ずしもすぐに「仲良し親子」にならなくともいいのです。
子供が自らの鬱積した思いを親に訴え、それを親が受容するというプロセスの中で、真の親子関係は深まっていくものです。
不登校という困難な状況に直面している親子がカウンセリングを受けることで、互いの感情や思いを共有し、協力して問題解決に取り組むことができるのです。

カウンセリングを受けるとよいタイミング

最後に、カウンセリングを受けるのに適切なタイミングを紹介します。
カウンセラーがおすすめするのは、以下の2つのタイミングです。

  • 不登校初期
  • 本人からの希望があったとき

それぞれ解説していきます。

不登校初期

カウンセリングを受けるとよいタイミングのひとつが「不登校初期」です。
不登校初期は、学校に行くことに対しての不安や抵抗感が生じる時期です。
この段階で早めにカウンセリングを受けると、問題解決や支援を受けるための適切な手段を見つけることができます。
身体の不調は、早期発見・早期対処が重要であることと同じです。
また、不登校初期は問題の深刻化や学業遅延のリスクが高まる時期でもあります。
早めのカウンセリングによって生徒が適切なサポートを受けることができれば、不登校が長引くことを防ぎ、学校への復帰や社会への適応を促進することができるでしょう。

本人からの希望があったとき

早期対処は重要ですが「本人からの希望があったとき」でも遅くはありません。
というのも、本人からの希望がある場合、その時点は最もカウンセリングを受けるモチベーションが高まっているということです。
不登校の本人が自分自身で問題を認識し、支援を必要と感じたその瞬間こそ、カウンセリングを受けるべき適切なタイミングなのです。
生徒が自分自身の気持ちや思いに向き合い、解決策を見つけるための一歩を踏み出しやすいといえるでしょう。
カウンセリングでは、カウンセラーが生徒の感情や思考を受け入れ、共感し、支えることが重要です。

高校生の不登校はカウンセリングで解決できる

今回は、高校生の不登校とカウンセリングについて解説してきました。
カウンセリングではまず当人の悩みに傾聴し、当人の心の問題の本質にアプローチしていきます。
さらに本人が何をしたいのか、どう生きたいのかといった人生の方向性を自覚して、主体的に人生を歩めるように援助していきます。
その結果として不登校の問題が解決していくものなのです。
もちろん、カウンセリングが効果を発揮するためには、早期の介入が功を奏しますし、本人のカウンセリングを受ける意欲が重要です。
本人の生きづらさの原因にフォーカスしつつも、本人の長所やタラントにも気づきが得られて自信と主体性を確立していけるようにカウンセリングを行います。
不登校の原因は、両親の不仲、兄弟関係のもつれなどの家庭環境なども密接に関わるものですから、引きこもりがちの当人がいなくても保護者とのカウンセリングもとても重要であり、効果的なものなのです。

心理相談室セラペイアでは、自分を見つめなおすための分析や、さまざまな心のお悩みを改善させるためのカウンセリングを行っています。
大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

適応障害とは?種類や症状とカウンセリングの有効性などを解説

「適応障害にカウンセリングは有効?治療方法は?」
「適応障害になりやすいケースや人の特徴は?」
「適応障害の方に対する接し方が知りたい」
何かとストレスの多い現代、カウンセリングのハードルは以前よりも下がりはしましたが、まだまだ行き届ききっていないことも確かです。

本記事では、適応障害に関する冒頭の疑問について解説していきます。
自分や周りの方の適応障害に悩む方、カウンセリングを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

適応障害とは

適応障害は、個人が重大なストレスや大きな人生の変化に適応できず、それに伴って心理的な苦痛や機能の低下が生じる精神疾患のことです。
たとえば、転職、離婚、大切な人との永訣などが原因となることが多いです。
症状は抑うつ、不安、睡眠障害、集中困難など多岐にわたり、これらが社会生活や仕事、学業に支障をきたします。

短期間で自然に改善することもありますが、ときには専門の治療が必要になることもあります。
適切なサポートと治療によって、健康を取り戻すことが可能です。

適応障害の症状

次に、適応障害の症状をより詳しく解説していきます。
細かな症状はいくつかありますが、大きく分けると以下の2つから見ることができます。

  • 情緒面
  • 行動面

それぞれ見ていきましょう。

情動面

適応障害は精神疾患であるため、基本的には情緒面での症状が多く見られます。
具体的には、以下のような感情が過度に見られることが一般的です。

  • 抑うつ気分
  • 不安
  • 怒り
  • 焦り
  • 緊張

行動面

行動面での症状が見られることも少なくありません。
具体的には、以下のような行動が見られます。

  • 過度な飲酒や暴食
  • 無断欠席・無断欠勤
  • 攻撃的な行動(喧嘩っ早くなる、イライラしやすく人にあたる、暴走運転など)

適応障害になりやすいケース

次に、適応障害になりやすいケースを紹介します。
ここではわかりやすく、以下の2場面に分けて解説していきます。

  • 仕事
  • プライベート

適応障害は、明確な原因となる出来事や状況があることが特徴です。
それぞれケースを3つずつ紹介していきます。

ケース①仕事

まずは、仕事において適応障害になりやすいケースから見ていきましょう。

  • 上司や同僚との人間関係がうまくいっていない
  • 業務でミスが多く心的負担が大きい
  • 新しく配属された部署の環境になじめない

ケース②プライベート

次に、プライベートにおいて適応障害になりやすいケースを見ていきましょう。

  • 友人との人間関係がうまくいっていなかったりそもそも友人がおらず悩んでいる
  • 家族と不仲である
  • 失恋や離婚、経済的不安などの状況にある

適応障害になりやすい人の特徴

ここからは、適応障害になりやすい人の特徴を見ていきましょう。
基本的には以下の3つが挙げられます。

  • ストレス耐性が低い
  • 責任感が強い
  • 人からの依頼を断れない

当然、これらに当てはまるからといって、必ず適応障害になるわけではありません。
どれも一面を切り取れば長所になりうる特徴です。

それぞれ、適応障害になりやすい理由を見ていきましょう。

特徴①ストレス耐性が低い

ストレス耐性が低い人は、小さなプレッシャーや変化にも強く反応し、過度に緊張や心配を感じやすい傾向があります。
これにより、精神的な不調を起こしやすく、適応障害を発症するリスクが高まります。

特徴②責任感が強い

責任感が強い人は、自らの肩にかかる負担を重く感じたり、失敗を避けるために極度のプレッシャーを感じたりすることが多くなります。
その結果、日々のストレスが積み重なり、心身の不調を引き起こすことがあり、適応障害を発症する傾向があります。

特徴③人からの依頼を断れない

人からの依頼を断れない方は、過剰な責任を負うことでストレスが溜まりやすく、それが折り合いを付ける能力に影響を及ぼすことがあります。
それによって、状況に適切に対応できず、適応障害を発症するリスクが高まります。

適応障害の治療方法

ここからは、実際に臨床の場で行われている適応障害の治療方法を紹介します。
基本的には、以下の3つの方法が取られます。

  • 休養
  • カウンセリング(心理療法)
  • 薬物治療

これらは複合的に行われる点も特徴です。
それぞれ解説していきます。

休養

適応障害によって、ストレスがたまると、心だけではなく身体的な変調をきたすことがあります。
十分な休息と質の良い睡眠をとることが必要です。
規則的な生活を心がけて食生活のバランスにも気をつけましょう。

適度な休息やリラックスが心身の免疫力を高め、思いがけない解決策がひらめくこともあります。

カウンセリング(心理療法)

カウンセリングでは、カウンセラーが話を聴き、ストレスの原因を理解し、解決策をともに考えてくれます。
この過程で、自己理解が深まり、適応力を高めましょう。
また、必要に応じて心理検査も行います。
これによって、より体系的な視点からの改善が見込まれるでしょう。

薬物治療

適応障害の薬物治療としては、主に抗不安薬や抗うつ薬が処方されます。
これらの薬は、患者様のストレスによる心身の症状を軽減させ、日常生活を送りやすくするために役立ちます。

ただし、薬物治療のみではなく先述のカウンセリングと複合的に行われるのが一般的です。

適応障害とうつ病の違い

適応障害の症状はうつに近いですが、DSM-5(心療内科や精神科で用いられる診断マニュアル)において、実は「心的外傷およびストレス因関連障害群」に分類されています。
つまり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などに近いということです。

一方、うつ病の分類は「抑うつ障害群」であり、気分障害の一種です。
これらの大きな違いは、名前の通りです。

  • 心的外傷およびストレス因関連障害群:明確かつ具体的な心的外傷対象がある状態
  • 抑うつ障害群(気分障害など):明確な理由がなくとも気分が過度に落ち込む状態

もっとも、適応障害からうつ病を発症したり、逆にうつ病から適応障害の症状が生じてしまうこともあります。
心の問題は複雑で流動的なものなのです。

適応障害の方に対する接し方

最後に、適応障害の方に対する接し方について解説して終わります。
重要なポイントは以下の3つです。

  • 過度な干渉をしない
  • 必要以上に励まさない
  • 聞き上手になる

それぞれ見ていきましょう。
どれも重要なので、適応障害の方と接する際はぜひ意識してみてください。

過度な干渉をしない

適応障害の方への過度な干渉は避けた方がよいでしょう。
自立を尊重し、本人が望むときに適切な支援を提供することが重要です。
無理に介入せず、心地よい距離感を保つことが大切です。

必要以上に励まさない

適応障害の方に対して、過剰な励ましは逆効果を招くことがあります。
無理に前向きにさせようとすることは控え、本人の感情を尊重し、静かに支える姿勢が大事です。
楽しそうなときはともに目一杯楽しみ、辛そうなときは受容と傾聴を意識しましょう。

聞き上手になる

適応障害の方と接する際は、アドバイスを急ぐのではなく聞き手に徹しましょう。
話を丁寧に聴き、感情を共有することで、心理的な安心感を提供できます。
回復のペースまで尊重することが大切です。

適応障害はカウンセリングが有効

適応障害の特質について、みてきました。
環境の変化に適応できず、日常生活に支障をきたすという適応障害の症状は、結構多くの人たちが多かれ少なかれ経験していることではないでしょうか。
ただ、適応障害の背景には、その人個人の性格、気質、家庭環境、生い立ちなどが関係しますので、一人ひとり解決への道は違うものなのです。

カウンセリングでは、カウンセラーがあなた個人の心の中にある悩みや葛藤をじっくりと聴いてくれるでしょう。
そのうえで、ストレス源との向き合い方や、感情のコントロールの仕方、日常生活における過ごし方のアドバイスが受けられます。

心理相談室セラペイアでは、脳科学と東洋医学を統合した「FAP」という技法を中心に、人間不信解消をはじめとした、さまざまな心の問題を治療・改善させるためのカウンセリングを行っています。
大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

1 2 3 4 5 6 7 8 9 21

 

  • スターピープル48号掲載記事
  • 川崎麻世さんとの対談
  • チベット紀行
  • FAPについての論文・学会発表