カウンセリングが必要な人の特徴とは?得られる効果や変化も解説
どのような人にカウンセリングは必要なのでしょうか。
この記事では、カウンセリングを通してどのようにして悩みが解消され、心の健康を取り戻していけるのかを詳しく解説します。
カウンセリングを必要とする人の特徴と、それがどのように日常生活にポジティブな変化をもたらすかを見ていきましょう。
カウンセリングとは
広い意味では、就職相談、法律相談、美容相談などもカウンセリングに含まれますが、基本的にはメンタルな問題に対する心理カウンセリングのことを指します。
カウンセリングは友達とカフェでおしゃべりすることではありません。
カウンセリングは、当人の悩みごとや問題に対して、具体的な改善や行動変容をもたらすためにもたれる特別な関係性です。
専門的な知識を持つカウンセラーが、クライエントの悩みをともに解決へと導く対話を行います。
その対話のプロセスを通して、カウンセラーが単に答えを提供するのではなく、クライエント自身が自己の状況を理解し、主体性をもって対処していけるようになります。
そして、さらに新しい問題が起きたとしても、そのことはむしろさらなる自己成長につながるチャンスであるというふうに認知も変化していくものなのです。
カウンセリングは心理や発達の理論を基にした対人援助活動と位置付けられており、個人の成長や対人関係の改善、社会的適応性の向上を目指しています。
カウンセリングが必要な人の特徴
カウンセリングは、自分の悩みや不安を解消し、さらに豊かな人格形成を成し遂げていくツールです。
ここでは、カウンセリングが推奨される人の特徴を見ていきましょう。
特徴①自分に厳しく無理をしてしまう人
自分に厳しく、常に最高の成果を求める人は、過度なストレスにより心身のバランスを崩してしまうことが多いものです。
そのような人は、自分だけで多くの責任を背負い込み、自分の限界を超えた努力を自らに強いてしまう傾向があるのです。
過労により体が悲鳴をあげていても、交感神経が過剰興奮している状況においては「自分はまだまだ元気だ」と勘違いをしてしまい、結果として大病に陥るということも珍しくはありません。
カウンセリングにより、無理をしてしまう行動パターンの根底にある心の囚われを明らかにしていきます。
さらにその囚われによって覆い隠されてしまっている本来の願いは何なのか、どんな自分になりたいのか、といったことにライトを当てていきます。
特徴②自己肯定感が低くマイナス思考な人
自己肯定感が低い人は、否定的な思考に囚われる傾向があります。
このタイプの人は、社会生活の中で不安や抑うつといった感情を持ちやすいのです。
カウンセリングでは、そのようなマイナス思考がどのような状況で起こりやすいのか、その根底にあるトラウマは…といったところをサーチしていきます。
さらに、カウンセラーという第三者からみると、その人自身が気付いていない長所や可能性がみえてくることが多いものです。
また、短所やコンプレックスに思えるものも、人生を深く体験するためにむしろ必要なものという見方もできるのです。
カウンセリングの中では、そのようなこともシェアしてまいります。
そして、セルフイメージの向上を図りつつも、ネガティブな面もむしろ自分に必要な一部であるという自己統合を目指していきます。
特徴③一人で悩みを抱えてしまう人
コミュニケーションが不得手な人は悩みを抱えやすいものです。
確かに厳しい社会の中では、人には言えないこともときにはあるでしょう。
自分の弱点を他人に見せたくないと考えるのも当然でしょう。
しかしながら、何でもかんでも一人で抱え込んでしまうと、ストレスにより心身に破綻をきたしてしまうものです。
一つの問題だけだったらまだ対処できるかもしれません。
しかし、例えば、病気、お金がない、離婚…といったように立て続けに問題が重なってしまうと、自殺や犯罪といった衝動的な行動に出てしまうこともあります。
カウンセリングは秘密厳守というルールの元で行います。
今まで人には言えなかったどんな悩み苦しみも話すことができる環境なのです。
話すだけでも心が整理されて楽になることも多いのですが、さらに、どうして一人で抱え込んでしまうのか、心の囚われの根本的な原因は何なのかといったよりディープなところにフォーカスしていき、生きづらさの解消を図ります。
特徴④人とのコミュニケーションの仕方に悩んでいる人
円滑なコミュニケーションは、良き人間関係を築くために必要不可欠です。
自分自身をどう表現するか…相手の話をどう受け止めるか…さらにまた、相手に応じてどう適切な距離感で接するのか…一対一ならいいけど、あの人が入ると…とか。
多かれ少なかれ、人とのコミュニケーションは社会生活の中での課題になるものです。
人とのコミュニケーションは頭で考えてどうかするというよりも、臨機応変に体が相手に反応し交流することでスムースになるものです。
カウンセリングを通じて、何が人とのコミュニケーションを妨げているのか、なぜ相手との距離感がうまくとれないのか、当人も気が付いていない要因が明らかされていくでしょう。
カウンセリングが必要になりやすい状況
人生のあらゆる段階で、予期せぬ出来事や変化が訪れることがあります。
これらの状況は精神的なストレスを引き起こし、日常生活や心の健康に影響を与えることがあります。
ここでは、カウンセリングが必要になりやすい状況を見ていきましょう。
必要状況①転勤や転居など生活環境の変化
転勤や転居による生活環境の変化は、人にとって大きなストレス源となることがあります。新しい地域への移動は、既存の社会的ネットワークを失うことを意味し、新たな関係を築く必要が出てきます。
これは、新たな自己成長につながるチャンスであるとともに、慣れ親しんだ環境から離れることによる不安や孤独感が生じることもあります。
新しい職場や学校での人間関係になじめず、精神的な負担を引き起こすことも多いです。
このような変化に伴うストレスは、睡眠障害や食欲不振といった身体的な症状を伴うこともあります。
もっとも、生活環境の具体的な変化というものは人それぞれ違うものです。
カウンセリングにおいては、まずはクライエントの話をじっくり傾聴して詳細な状況を把握してまいります。
また、環境に適応しづらい人は、体質的に敏感な人(HSP)も多いものです。
そのような人は、無理に問題を克服しようということではなく、自らの過敏さをより良い形で表現していけるようにカウンセリングによってサポートしてまいります。
必要状況②大切な存在との別れ
大切な人やペットとの別れは、何か自分自身の一部を失ってしまったような喪失感を引き起こすことがあります。
この喪失感は、日常生活にも支障をきたし、適応障害や抑うつ状態を引き起こすことがあります。
人からは「もう忘れたら」とか、「新しいペットを飼えば」といわれたりするかもしれません。
しかし、自分にとって掛け替えのない存在であったがゆえに、人からの安易な言葉には納得できず反発を覚えることもあるでしょう。
このような時、カウンセリングを受けることは、感情を整理し、喪失の悲しみを乗り越えるための重要な一歩となるでしょう。
カウンセラーは、クライエントが感じている心の空洞を共感的に理解し、喪の作業が円滑に果たせるようにサポートしてまいります。
このサポートを通じて、人は新たな日常を受け入れ、再び人生を前向きに進むエネルギーを得ることができるでしょう。
必要状況③仕事量の増加や職場の悩み
職場における仕事量の増加は、人の精神的及び身体的健康に大きな影響を及ぼすことがあります。
手に余る仕事と厳しい期限は、労働者に過度なストレスを与え、これが疲労やミスの増加につながります。
長時間労働が常態化していると、趣味や遊びといったリフレッシュの機会が奪われ、心身に悪影響を及ぼし、さらに家族関係の問題にもつながることも多いものです。
仕事のことで頭がいっぱい、どう対処したら分からない…この仕事を続けることにどんな意味があるのか…煮詰まってしまっているような状況でも、カウンセラーという第三者が入ることで思いがけない解決の糸口が見つかることがあります。
また、多くの場合、仕事の悩みは人間関係の悩みです。
カウンセリングによって、その相手とどう接していったらいいのか、なぜそのようなパターンにはまってしまうのか。
自らの心の中にあるものに気が付いて具体的な戦略を学ぶことも必要です。
カウンセラーとの対話を通じて、仕事と私生活のバランスを取り戻し、職場でのプレッシャーを管理する方法を習得することができるでしょう。
カウンセリングの流れ
カウンセリングのプロセス・流れは、カウンセラーによってそれぞれ違うものですが、おおよその共通点について4項目に分けてお話します。
といっても、時系列的に必ずこのとおりに進んでいくということでもなく、4つの要素が複合的に関わりつつカウンセリングは進行していくものです。
現場でのカウンセリングの流れは、オーダーメイドであり、そのときのカウンセラーとクライエントとの交流の中で作られていくものなのです。
① 信頼関係の確立
まず、カウンセリングの初期段階、特に初回のカウンセリング(インテーク)では、クライエントが安心して心の内を明かせる環境を整えることが重要です。
カウンセラーは、信頼関係を築くことに焦点を当て、クライエントが抱える問題について自由に話せるように努めます。
この段階では、クライエントの話を丁寧に聞き、その人の感情や状況を十分に理解することが中心です。
② 問題の原因について
今現在、クライエントが抱えている問題について、傾聴し、共感しつつ、その根源的な原因について探っていきます。
成育歴の中のトラウマ、家族関係などの過去の出来事についてフォーカスしつつ、クライエント自身が気付いていないような側面に、専門的なライトを当てて、クライエントがより広い視点から自らの問題を見直すことができるように努めます。
そして、専門的なトラウマ治療などの技術を用いて、クライエントの思考や生活が変容するように導いていきます。
③ 未来の方向性
過去のトラウマが癒され、現在の問題がある程度軽減されるにつれて、クライエントは自らの本心に気が付いてくるものです。
自分はこれからどう生きたいのか、何をしたいのか、そのような人生の方向性、未来のビジョンについても、カウンセラーはヒントを提起しサポートしていきます。
④カウンセリングの成果の応用
クライエントがカウンセリングの成果を日常生活に活かし、自立して問題に向き合えるようになることを目指す段階です。
カウンセラーは、クライエントが自信を持って通常の生活に戻れるよう、サポートを続けます。
また、カウンセリング終了後のフォローアップの重要性についても説明し、必要に応じてさらなる視点やテーマによってカウンセリングを継続することもあります。
カウンセリングで得られる効果
カウンセリングを受けることの効果は人それぞれですが、ここでは、カウンセリングを通じて得られる主な効果について見ていきましょう。
効果①心が軽くなる
話をするだけで心が軽くなることは、カウンセリングの大きなメリットです。
悩みや不安を口に出すことで、抱えていた重荷が少なからず軽減されます。
カウンセラーとの対話を通じて、自分の感情や考えを整理し、受け入れる過程で心の平静さを取り戻していくのです。
そして、そのことは日常生活における前向きな行動変容を促すきっかけにもなるでしょう。
効果②自分が陥っている状態について理解できる
カウンセリングによって、自分自身が抱える問題の本質やその背景について深く理解することができるでしょう。
カウンセラーは、対話を通じて、クライエントが陥りやすいマイナス行動やネガティブ思考を明らかにしていきます。
その中で生まれる自己認識の変化は、問題解決のための具体的なステップを踏む際の土台となり、自分自身の行動や思考に対する洞察をさらに深めることにつながるでしょう。
効果③人間関係がスムーズになる
カウンセリングは、対人関係の問題を改善するための有効な手段です。
カウンセラーは、クライエントがかかえている対人関係における具体的な状況を傾聴しつつ、そのようなことがどうして起きてしまうのか、何かパターンのようなものはないのか、クライエントがもっている囚われは何なのか といったディープな部分にフォーカスしていきます。
カウンセリング自体が一つの人間関係ですから、その中で体験的にコミュニケーションスキルや相手との距離感の取り方などを体得することができます。
カウンセリングを受けられる場所
カウンセリングを受けることを検討している方にとって、そのサービスを受けられる場所を知ることは大切です。
病院や精神科クリニックでは、薬物療法とともにカウンセリングサービスを提供しているところもあります。
また、大企業や公共機関では、従業員のメンタルヘルスを支援するためにカウンセリング室を設けているところもあります。
地域社会に根ざした保健所や精神保健福祉センターでは、一般市民を対象にしたカウンセリングサービスが提供されているところもあります。
個人経営のカウンセリングルームや心理相談室では、一時間前後の枠をとって本格的なカウンセリングを行なっています。
最近では、インターネットの普及によりオンラインでのカウンセリングもかなり普及してきました。
電話以外にもスカイプやZoomを使用したカウンセリングは、外出が困難な方や遠隔地の方にもメリットがあるでしょう。
1人で悩まずカウンセリングを受けてみましょう
今回は、カウンセリングが必要な人の特徴、得られる主な効果や変化を解説してきました。
カウンセリングを受けることは、恥ずかしいことでは全くありません。
アメリカではお金を払ってカウンセラーに話を聞いてもらうということは一つの社会的なステータスになっています。
専門的なカウンセラーとの対話交流を通じて、当面の自分の悩みや課題を解消するだけではなく、より深く自分自身を知り、より豊かな人生を送るためのツールなのです。一人で悩まず、カウンセリングを受けることをおすすめします。
カウンセリングにはさまざまな流派がありますが、一つの流派のやり方では限界があるものです。
心理相談室セラペイアは、FAPというトラウマ治療とともにさまざまな心理的アプローチにより心の悩みを解決するための総合的なサポートを提供しています。心の健康について相談したい方は、ぜひ心理相談室セラペイアまでご連絡下さい。