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心理学コラム

カウンセリングとは? 受ける際の流れやメリットについて解説

「カウンセリングとは?」
「カウンセリングが必要な人はどんな人?」
「カウンセリングの具体的な流れを知りたい!」

カウンセリングは心の交流を通して精神的な病や心の囚われを回復させる方法です。
一般に、多くの精神障害や精神疾患の治療に使われており、話を聞いてほしい、心がしんどいという方の助けにもなっています。

また、そればかりではなく、カウンセリングは本来的に健康な人も受けるものであり、能力や才能をさらに発揮するためのツールとして有効なものでもあるのです。

本記事では、実際にカウンセリングを受ける際の流れや、カウンセリングがもたらす効果について詳しく解説していきます。
カウンセリングを検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

カウンセリングとは?

カウンセリングとは、言葉のやり取りだけではなく、声のイントネーションやジャスチャーなどの非言語的な方法も用いて、悩みや問題を解決に導くアプローチです。
カウンセリングでは、「受容」と「傾聴」の考え方を根底に据えて深い心の交流を図り、クライエントの主体性を引き出してまいります。

 

カウンセリングとセラピーの違い

カウンセリング以外によく使われる言葉としてセラピーという言葉があります。
カウンセリングは、資本主義社会の発展によって職業が多様化した19世紀アメリカにおいて、高校生の職業相談として始められたものです。

つまり、社会活動ができる健康な人に対する関わりということです。

それに対して、以前セラピーという言葉は、治療者が患者に施す治療法という、ある程度上下関係を含んだ意味合いで使われてきました。
しかしながら、セラピーという言葉のギリシア語の語源である「セラペイア」は「人に奉仕する」というニュアンスをもった言葉です。

つまり、カウンセリングも、セラピーも本来は対等な立場を基本にしたものであり、現在ではあまり区別されることなく使われています。

 

カウンセリングの具体的な手法

また、ひとくちにカウンセリングといってもさまざまな手法が存在しますが、基本的な立場は4つに分類されます。

ここでは、以下4つの具体的な手法について見ていきましょう。

  • 精神分析的カウンセリング
  • 認知行動的カウンセリング
  • クライエント中心的カウンセリング
  • スピリチュアルなカウンセリング

それぞれ概要を簡単に解説していきます。

 

精神分析的カウンセリング

フロイトから始まる精神分析では、心の葛藤やパニックなどは過去のトラウマに原因があると考えます。
無意識の世界に隠されている心の囚われを解き明かすことで問題解決を図ります。

もっとも、回復に時間がかかることやクライエントによっては十分な効果が得られないということもあり、一時期衰退しかけました。

しかし、単に目先の問題解決ということだけではなく、自らの生き方を深く見直すことで根本的な人生観の変容も期待できるカウンセリング手法です。
元々は医者と患者の上下関係が含まれていましたが、カウンセラーとクライエントとの対等な立場を重んじる現代の精神分析は、根強い人気があります。

 

認知行動的カウンセリング

精神分析が過去の体験に遡るものであるのに対して、認知行動療法は、今現在の問題を自覚して、未来を意識的に変えていこうとするものです。
効果が客観的にも認められている手法であり、精神科でも薬物療法と併用するかたちで用いられています。

慣れてくると、主体的に自分だけで様々なことを解決していけるようになり、自己啓発にも役立ちます。
以前「嫌われる勇気」というアドラー心理学の本がベストセラーになったことがありましたが、アドラー心理学も認知行動的な立場です。

 

クライエント中心的カウンセリング

クライエント中心療法は、問題の解決の道はクライエントの内側にすでに存在し、カウンセラーはそれを引き出すヘルパーであるという立場です。
クライエントの話を「傾聴」し、「受容」的な態度で「共感」していると、クライエントは自ら問題解決の方法を見つけていくと考えます。

カール・ロジャーズが創始したものであり、カウンセリングといえば、このクライエント中心療法をイメージする人も多いかと思います。ただ、トラウマ治療などの積極的な介入はしないために、重度の心の問題には不向きであるともいえます。

 

スピリチュアル的カウンセリング

一般にスピリチュアルと呼ばれている分野は、占い、過去生、気のエネルギーなど科学的にははっきり分からないヒーリングの総称です。
かつてはトランスパーソナル心理学と呼ばれていたもので、悟りの世界、至高体験といった人生の究極的な目的も含まれます。ユング心理学でいう集合的無意識という世界もこのカテゴリーの思想です。

スピリチュアルな世界は科学的にははっきりとは証明できなくとも、多くの人達が興味のある世界です。
カウンセラーとの相性・波調が合うと、人生に大きな変革が起こることもあるようです。

ただ、スピリチュアルな世界は玉石混合で、詐欺被害やカルト宗教とのつながりなどが社会問題になっていることも事実です。
慎重な関わりが必要でしょう。

 

カウンセリングの目的とは

カウンセリングでは、基本的には「クライエントの内面的な問題」をフォーカスします。
そして、心の問題が解消、改善すれば、必然的に表情や行動が変わり、人間関係にも変化が生じるのです。

臨床心理学者の国分康孝氏は、カウンセリングとは「言語的および非言語的コミュニケーションを通して、行動変容を試みる人間関係」と捉えています。
カウンセリングの最終的な目的は、客観的社会的な行動変容にあるのです。

 

カウンセリングの流れについて

次に、カウンセリングの流れについて解説します。
先に述べたとおり、カウンセリングの手法によっても、その流れは違いますが、おおよそ3ステップに分けられます。
それぞれの段階で何を行うのか、少し詳しく見ていきましょう。

 

初期段階

カウンセリングの初回から数回目までは、アセスメント(査定)ということで、カウンセリングに必要な情報をクライエントからお伺いします。
クライエントが抱えている問題、不快な症状、人生のテーマについて、共感しつつ傾聴し、ラポール(信頼)の形成をはかります。

さらに家族構成や過去の生い立ちなどを教えてもらい、そのうえで、今後のおおよそのカウンセリングの方針についてお伝えしていきます。

また、必要に応じて心理検査をすることもあります。

 

中期段階

アセスメントがひと通り終わったら、カウンセリングの方針に沿ってさらに詳しくインタビューしていきます。
まずは今直面している問題や不快な心の状態について、具体的に解決、改善を図っていきます。
そして、さらに掘り下げて、より深いトラウマ、幼少期の問題、家族関係などにフォーカスしていきます。

 

後期段階

カウンセリングを数回から数十回経て、当初の問題が解決、改善できて、クライエントの合意が得られればカウンセリングは終了となります。

しかしながら、また新たな別の問題、より深いレベルの人生への疑問などが出てくることも多く、カウンセリングの新たなテーマが生まれることもあります。
人生のメンテナンスというような意味で、数か月から数年に一度カウンセリングを継続するというようなこともあるのです。

 

カウンセリングが必要な人はどんな人?

心の問題だけではなくて、体の不調感、倦怠感などもストレスが関係していることが多いものです。

また、自分は健康だと思っている人でも、過去のトラウマによって、無意識のうちに自分の能力や才能に歯止めがかかってしまっている場合もあるのです。
少しでも今の自分に違和感や不満がある人は、一度はカウンセリングを受けることをおおすめします。

こちらの記事ではトラウマとはそもそもどのようなものなのか詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:トラウマによる心の傷はカウンセリングで克服できる?

 

カウンセリングの限界

うつ病やパニック障害の場合は、十分な休養をとり、薬物療法によって、脳内物質の安定を図ることが有効な場合が多いです。
統合失調症の場合は、薬物療法がメインであり、幻覚妄想にフォーカスするような不適切なカウンセリングはかえって症状を悪化させてしまうことがあります。

重度の精神障害は、日常生活を離れて、入院治療が必要になります。
カウンセリングは、回復のための一つのツールであり、有効性にも限界があるのです。

 

カウンセリングをするうえで期待できる効果とは?

精神的な問題があるときに、薬よりもカウンセリングの方が根本的に解決できるとよく聞きますが、では具体的にカウンセリングはどのような効果があるのでしょうか。
ここでは、期待できる効果について5つピックアップしました。
それぞれ簡単に見ていきましょう。

 

効果① 心が軽くなる

まず、ネガティブな感情や不快な身体症状の根底にある心の問題を言語化し、カウンセラーが共感することで、心が軽くなります
カウンセリングはクライエントの心の中の鬱屈としたエネルギーを解き放って解消します。

 

効果➁ 自分の状況の整理ができる

不快な症状を消失することで心に余裕ができると、今までとは違ったものの見方ができるようになります。
カウンセリングの本質は、クライエント自身が自分の気づきによって問題を解決することであり、カウンセラーはそのヘルパー役なのです。
カウンセラーから表面的なアンサー(回答)ではなくて適切なレスポンス(応答)をもらうことにより、自分の考えや感情を自ら整理できるのです。

 

効果③ 自己肯定感・自尊心が高くなる

カウンセラーは熟練した聴き手です。
受容と共感の中で、心の奥に隠されていた本音を引き出してくれたり、心の闇に優しくフォーカスしてくれたりします。そして、トラウマから解放されていくと、自己肯定感や自尊心が育まれていきます

 

効果④ 人間関係の構築への応用もできる

カウンセリングで得た気づきは、そのまま身近な人間関係にも良い影響を与えます
自己肯定感や自尊心があるとより人間関係はスムーズになり、それがまた自信につながるという好循環が生まれます。

 

効果⑤ 自分の新しい側面に気が付く

カウンセリングは今までとは違う新たな視点で自らを見つめ直す場です。
クライエントが自らの短所、欠点だと思っているものも見方を変えると長所になったりするものです。
例えば、臆病な気持ちは、慎重さという良い面ももつのです。
クライエントは、自分でも気づけなかった自分自身を発見することができるでしょう。

 

心理相談室セラペイアのFAPカウンセリングとは

FAP(Free From Anxiety Program)は、直訳すると「不安・苦痛からの開放のプログラム」となります。
東洋医学における経絡と臓器のつながりの考えを応用しつつ、最新の脳科学の成果を取り入れたものです。
さらに、従来の代表的なカウンセリング理論である精神分析と認知行動療法、くわえて家族療法の要素を含めたカウンセリングスキルで、最新の統合カウンセリング技法といえます。

 

もっと能力をアップさせたい

先にもお伝えしまたが、健康だと思っている人でも、過去のトラウマによって無意識的に自分の能力や才能に歯止めがかかっている場合が多いです。
日本では、カウンセリングは病んだ人、弱い人が受けるものという偏見があります。

しかしながら、アメリカではプロのスポーツマンや芸能人がカウンセリングをすすんで受けているのです。
有能な弁護士を雇い、腕のいい医者にかかることとともに、質のいいカウンセリングを受けることは一つの社会的なステータスなのです。
以下のようなテーマで、もっと自らの能力を発揮したいと思っている人は、是非FAPカウンセリングを受けることをお勧め致します。

◎学力の向上、受験、進路の選択、資格取得、婚活、就活、趣味の上達、営業成績の向上、会社の経営改善、スポーツでの記録の更新…

心理相談室セラペイアでは、さまざまな悩みをお持ちの方に向けてカウンセリングをしています。
カウンセリングをご希望の方は、お気軽にご相談ください。

大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

カウンセリングを通してアンガーマネジメントはできるようになるのか

「アンガーマネジメントって何?」
「アンガーマネジメントはカウンセリングで可能?」
「アンガーマネジメントの方法を具体的に知りたい!」

人間誰しもが感じたことあるであろう「怒り」
しかし、怒りを良いものだと思う人は少ないでしょう。

そこで本記事では、怒りをコントロールする方法、アンガーマネジメントをカウンセリングの観点からお伝えします。感情コントロールのためにカウン リングを受けるか迷われている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

アンガーマネジメントとは

アンガーマネジメントとは、その名のとおり自らの「怒り(アンガー)」を「管理(マネジメント)」することです。
喜びや楽しさなどのいわゆる「よい」感情と違い、怒りはコントロールが効かなければ、人間関係など社会生活のあらゆる場面において悪影響となります。
怒りを出すべき場面、出すべきでない場面で、うまくその発現をスイッチできるようになりましょう。

 

怒りの感情のメカニズムとは

そもそも、怒りの感情とはどのような仕組みになっているのでしょうか。
以下の3項目によって解き明かしていきます。

  • 怒りが発生する原因について
  • 怒りを生み出す「一次感情」とは
  • 「怒り」という感情が持つ性質とは

それぞれ簡単に見ていきましょう。

 

怒りが発生する原因について

怒りの原因は、突き詰めれば自分の中に存在します。
イメージしていた理想、期待、願望。
それらが壊されることで怒りが生まれるのです。

 

怒りを生み出す「一次感情」とは

怒りは、理想を壊された喪失への防衛手段です。
そして、私たちは守りとして怒りを発現させる前、何かしらの感情(=一次感情)を抱きます。
悲しい、悔しい、辛い、寂しい。
これらの感情を経て、怒りへとシフトしていきます。

 

「怒り」という感情が持つ性質とは

最後に、怒りの持つ性質を以下の4つに絞って紹介しましょう。

  • 下の者に向くほど強くなりやすい
  • 身近な人に向くほど強くなりやすい
  • 周りの人に伝染する
  • モチベーションにもなる

それぞれ説明していきます。

 

下の者に向くほど強くなりやすい

部下と上司に同じ行為をされて怒りを感じたとしましょう。
その怒りは、また怒りのぶつけやすさは、上司相手の方が小さいのではないでしょうか。
怒りは、立場が上の者から下の者へと流れやすいのです。

ちなみに「八つ当たり」もこの性質によって起こります。

 

身近な人に向くほど強くなりやすい

殺人事件でもっとも多い動機は「憤まん・激情」です。つまり、怒り。
そして、その8割以上が友人や恋人などの面識者、うち2割は親族です。
知っている人、親しい人ほど怒りは向きやすいということですね。

 

周りの人に伝染する

ポジティブな人がいるとその場は明るくなり、ネガティブな人といるとネガティブになります。
つまり、感情は容易に他人に伝染するのです。
とくに怒りはそれが顕著です。
他人がイライラしているのに対してイライラした経験がある方もいるのではないでしょうか。

 

モチベーションにもなる

怒りは、ときに人を殺してしまえるほどに大きなエネルギーを持っています。
しかし、その大きなエネルギーはマイナスだけでなく、プラス方向にも働き、奮起、努力、成長の糧になることもあります。

ですから、怒りのエネルギーそのものが悪いということではなくて、その暴発が怖いということなのです。
怒りを管理し、プラスの方向に向けることでより良い人生を創ることもできるのです。

 

アンガーマネジメントの手順

では、ここから実際にアンガーマネジメントを行う手順を解説していきます。
流れとしては、以下の3ステップです。

  1. まずは怒りの感情を自覚する
  2. 深呼吸により怒りの感情をコントロールする
  3. 徐々に考え方を変える

それぞれ簡単に見ていきましょう。

 

ステップ① まずは怒りの感情を自覚する

怒りをコントロールするためには、その瞬間に怒りの状態にあることを自覚しなければなりません
怒っているとき、人は冷静さを欠いています。
難しいことは考えず、まずは「怒っている」という事実を把握することに注力しましょう。

 

ステップ➁ 深呼吸により怒りの感情をコントロールする

「把握」を経て、ようやく感情のコントロールに入ります。
怒りのピークは最初の6秒間に訪れるとされています。

様々なアンガーマネジメントの本にも紹介されていることですが、深呼吸が有効です。
吐く息を深く長くすることで、副交感神経が働きます。
深呼吸をすることで、怒りによる「衝動」をコントロールしましょう。

 

ステップ③ 徐々に考え方を変える

数回、深呼吸を続け、怒りが沈静化するのを感じつつ、自己内省してみて下さい。
自分の理想は何だったのか、それが壊されたときの一次感情(悲しい、悔しい、辛い、寂しい…)は何なのか、相手はなぜ自分の理想に反することをしたのか。
そこから、相手と自分の妥協点を模索するというように合理的な考えができるようになれるといいでしょう。

 

アンガーマネジメントの難しさ

もっとも、一般的なアンガーマネジメントの方法では、なかなか怒りをコントロールできないと思っている人達も多いでしょう。
前項で怒りを生み出している一次的な感情(悲しい、悔しい、辛い、寂しい…)について触れましたが、さらに突き詰めて考えると、人間は何らかのかたちで自らの社会的な立場、さらには生存そのものが脅かされるときに怒りを感じます。

古来より人間は、敵や猛獣に襲われたときに、恐怖心とともに身を護るために怒りが沸いてきます。
怒りの感情は、本能的なものであり、「必要だから」備わっているのです。
ですから、喜怒哀楽に代表される様々な感情の中で、怒りは特に根深くコントロールが難しい感情であるといわれるのです。

 

根深い怒りの根底にあるもの

一般的なアンガーマネジメントのやり方ではコントロールできない根深い怒りの根底には、当人も十分には自覚できていない何らかの恐怖心が潜在しているものです。
「見捨てられる恐怖」「批判される恐怖」「殺される恐怖」など…

そしてそれらは、生育歴の中で生じたトラウマによって生まれたものなのです。
心の中にトラウマを抱えていると、怒りのエネルギーが無意識に蓄積されていくことでコントロールできる容量を超えてしまい、往々にして破壊的な結果を招いてしまうことになります。

心理相談室セラペイアでは、トラウマ治療に特化したFAPという心理療法を用いて、根深い怒りであってもコントロールできるように導いてまいります。
さらに、適切な目標設定をすることにより、怒りの破壊的なエネルギーを未来に向けての創造的なエネルギーに変換することもできるのです。

心理相談室セラペイアでは、アンガーマネジメント以外のカウンセリングも受け付けています。
専門家によるカウンセリングをご希望の方は、お気軽にご相談ください。

大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

こちらの記事ではトラウマとはそもそもどのようなものなのか詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:トラウマによる心の傷はカウンセリングで克服できる?

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