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心理学コラム

催眠(ヒプノ)について

催眠というとテレビでの催眠術のショーを思い浮かべる人も多いと思います。確かにそれも催眠の一つなのですが、催眠療法(ヒプノセラピー)ということで心理療法の技法としても使われます。
催眠療法の起源は、18世紀のドイツの医師メスメルから始まるとされます。メスメルがある女性の患者に鉄を含む調合剤を飲ませたところ病状が回復しました。そのような臨床例からメスメルは、人体には宇宙に遍満する「動物磁気」というものが人体にも影響を与えており、体内においてそのバランスが崩れると病気となると考えたのです。しかし、「動物磁気」というものの存在が科学的に証明されることはなく、メスメルの治療は、何らかの心理的な作用によるものであると当時の多くの人は考えました。それでも、メスメルの治療によって多くの人々の病気が回復したことから、信奉者も大勢おりました。社会的な批判を受けつつも、何らかの未知の作用によって不思議な治癒が起こりうることをメスメルは提起したのです。そこが催眠療法の発達の端緒とされます。
催眠療法士が「あなたは立てなくなる」と言うと、椅子に座っていた人はどう頑張っても本当に立てなくなるといったように、当人の思考や行動が著しくコントロールされた状態がいわゆる催眠状態とされるわけです。
確かに催眠状態というものはあると考えられるのですが、今のところ、例えば脳波測定などによって客観的で厳密な定義ができるものではありません。催眠という訳語は紛らわしい言葉で、意識レベルは狭まっているものの、睡眠とは違うものです。起きている状態ではなく、睡眠状態ではない第三の意識状態をとりあえず催眠状態といっているのです。

うつの本体

先日、「マイク・ミルズのうつの話」という映画を観てきました。日本において1999年にうつは「心の風邪」だから早く受診しましょうという製薬会社のCMが流れてから、うつの患者が爆発的な増えたといいます。この映画は抗うつ薬を日々飲んでいる5人の日本人の生活を追ったドキュメンタリー映画です。
マイク・ミルズは抗うつ薬の薬害と利潤目的の製薬会社への批判というものにフォーカスを当てようとしたようですが、映画に出てくるうつ病の人の率直な感想として、抗うつ薬を飲んでよかったという話もいくつかでてきます。ただ、薬だけでは不十分ということでお酢を飲んだり、左手で歯を磨いたり、あるいは、サディステックな性向のある男性はロープ責めを受けることで心が満たされるといっています。それぞれの人がユニークな取り組みをしていることが紹介されているのです。うつと一言でいっても、人それぞれのうつがあるといったところでしょうか。
新しいタイプの抗うつ薬は脳内のセロトニンの量を増加させることでうつを軽減させる作用があるとされますが、それも一つの仮説に過ぎません。脳のことはまだわからないことばかりなのです。確かに抗うつ薬が有効な人もいるでしょう。一方では薬への依存心が強まりだんだんと薬の量が増えてしまうばかりの人もいます。うつは「心の風邪」というのは安易なキャッチフレーズです。風邪の本体はウィルスです。ではうつの本体とは何なのでしょうか。未だに分かっていないのです。そもそも、物質レベルでのうつの本体などというものはないのかもしれません。
私はカウンセラーですから薬は処方できません。それでもうつからの回復のための手立てはもっております。私がもっとも重視するのは、その人にとっての「支配者」です。支配者というのは、その人の生育歴、あるいは現在の環境の中でその人にプレッシャーを与えてきた人のことです。多くのうつの場合、支配者から「お前はダメだ」「お前はできない」といった否定的な暗示の言葉が入ってしまっているのです。支配者としてまず考えられるのは、その人のお父さんか、お母さんです。さらに、その背後には、お祖父さんだとか、お祖母さんだとか、あるいは親戚のおじさんというような影の支配者もいたりします。そしてまた、学校の先生だとか、現在の職場の上司だとか、そういった人も「支配者」になりうるのです。うつのほとんどのケースがその支配者からのプレッシャーによって引き起こされるものと私はとらえています。
そして、私の行っているFAP療法を用いて、支配者との精神的な距離感をとることによってうつからの回復は可能なのです。

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  • スターピープル48号掲載記事
  • 川崎麻世さんとの対談
  • チベット紀行
  • FAPについての論文・学会発表