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自閉症スペクトラム とは? 特徴やカウンセリングなどの治療法を紹介

「自閉症とは?」
「自閉症スペクトラムの症状は?」
「自閉症の診断方法や治療法を知りたい!」
近年、耳にすることが増えた「自閉症スペクトラム」
精神医学の世界でも今とくに研究速度の速い分野です。

そこで本記事では、自閉症スペクトラムについて、最新の診断マニュアルを参照しつつ解説していきます。
自閉症スペクトラムの方や、周りに自閉症スペクトラムの方がいる方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

自閉症スペクトラムとは

自閉症スペクトラムとは、脳の機能異常によって生じるものとされています。
スペクトラム(連続体)という名称のとおり、程度や発現症状は人それぞれグラデーションのように異なります。
自閉症スペクトラムの多くは、一見すると健常者と判別がつきにくいため「見えない障害」のひとつともいわれています。

 

自閉症スペクトラムの原因

自閉症スペクトラムの原因は、脳の機能異常とされていますが、細かなメカニズムは分かっていません。
以前は後天的なものとされ、育て方が悪かったということで、お母さんが責められた時期がありましたが、脳科学が進むにつれて、先天的なものが原因とされるようになりました。

しかしながら、全て先天的、遺伝的なものが原因とも言い切れないようです。
母親の喫煙、高齢出産、農薬、ワクチン、大気汚染、人工甘味料なども関係するのではないかという報告があり、さらなる研究が必要なのです。

 

自閉症スペクトラムの発生頻度

自閉症スペクトラムの割合は30人に1人という研究発表もあり、いまや珍しい障害ではありません。
また、男性は女性に比べて5倍の発生頻度が報告されていますが、女性の場合、結婚して社会生活での人との関わりが少なくなって問題行動が表面化せず、正しく診断されていないだけではないかという指摘もあります。

 

自閉症スペクトラムに見られる2つの主症状

ここから、自閉症スペクトラムの主症状を見ていきましょう。
以前のマニュアルでは3つの主症状が診断基準として挙げられていましたが、最新の診断マニュアルでは以下の2つとされています。

  • 社会生活を過ごすうえでの障害・コミュニケーションに関する障害
  • 行動や興味における特殊な様式

それぞれ見ていきましょう。

 

社会生活を過ごすうえでの障害・コミュニケーションに関する障害

厳密には「社会的コミュニケーションおよび対人相互反応における持続的な欠陥」とされている症状です。
主に、対人関係の形成・維持の困難さや、共感性の欠如、コミュニケーションおよび会話の困難さが見られます。

 

行動や興味における特殊な様式

厳密には「行動,興味,または活動の限定された反復的な様式」とされている症状です。
主に、限局された興味対象への過度な集中や、異常なほどのこだわり、同じ行動の繰り返しなどが見られます。

 

自閉症スペクトラムの症状別まとめ

現在は「自閉症スペクトラム」と1つに統合されていますが、以前はさらに細分化されていました。
特にアスペルガー症候群は、流行語にもなりましたが、今の診断基準では無くなっています。

それだけ、病理の分類が未だに流動的であり、明確なことが分からないということなのですが、思い当たる人もいるかもしれません。
参考までに、以前の基準に則って代表的な以下3つの障害を紐解いていきます。

  • 自閉症
  • アスペルガー症候群
  • 高機能自閉症

それぞれ解説していきます。

 

自閉症

まずは自閉症です。
自閉症は診断基準に知的遅滞があり、自閉症スペクトラムのなかでももっともわかりやすい障害といえます。
自閉症の主な症状は以下のとおりです。

 

  • 社会性の障害

先述した対人関係の形成・維持の困難さや共感性の欠如が著しい状態にあります。

  • コミュニケーションの障害

先述したコミュニケーションおよび会話の困難さが著しい状態にあります。

  • 想像力の障害

先述した限局された興味対象への過度な集中や、異常なほどのこだわり、同じ行動の繰り返しなどが見られます。
また、以上3つの症状が3歳頃までに明確に認められる点も特徴です。

  • 知的能力の困難

知的能力が低く、知的障害と認められる場合も多くあります。

 

アスペルガー症候群

次にアスペルガー症候群です。
アスペルガー症候群は非言語コミュニケーションに困難があり、P-Fスタディという心理検査を診断に用いることが多いです。
アスペルガー症候群の主な症状は以下のとおり。

 

  • 社会性の障害

先述した対人関係の形成・維持の困難さや共感性の欠如が著しい状態にあります。

  • コミュニケーションの障害

非言語コミュニケーションの困難さが著しい状態にありますが、言葉は流暢でむしろ大人びて見えます。
家族に対しても敬語で話すなど距離感やTPOがわからないといったことも多々あります。

  • 想像力の障害

先述した限局された興味対象への過度な集中や、異常なほどのこだわり、同じ行動の繰り返しなどが見られます。
また、アスペルガー症候群に知的地帯はありません。
むしろ合理的な思考傾向によって知的と評価されることも多く、それゆえ障害としての理解も得にくい傾向にあります。

 

高機能自閉症

最後に高機能自閉症です。
高機能自閉症はほとんどアスペルガー症候群と大差なく、幼少期の言葉の遅れがある場合に診断されていた障害です。
アスペルガー症候群との明確な区分が難しく、複数の障害が自閉症スペクトラムへ統合される一要因にもなった障害です。
高機能自閉症の主な症状は以下のとおり。

 

  • 社会性の障害

先述した対人関係の形成・維持の困難さや共感性の欠如が著しい状態にあります。

  • コミュニケーションの障害

幼児期に言葉の遅れが認められながらも、幼少期を超えたあたりで定型発達の子どもたちに追いつきます。
むしろそれからの言葉は流暢ですが、非言語コミュニケーションの困難さが著しい状態です。

  • 想像力の障害

先述した限局された興味対象への過度な集中や、異常なほどのこだわり、同じ行動の繰り返しなどが見られます。
また、高機能自閉症にも知的遅滞はありません。

 

カウンセリングにおける自閉症スペクトラムの診断方法

自閉症スペクトラムの診断は大変難しいものです。
基本的には「人間関係でのコミュニケーション」「視線が合わない」「特定の物事への異常なこだわり」「知覚過敏」などが目安になりますが、これらの症状は、鬱病、躁鬱病、統合失調症、回避性パーソナリティ障害などにもみられるのです。
それらとの区別が難しいわけなのですが、おおよその自閉症スペクトラムの判定には以下の3つが基準になります。

 

これまでの生い立ちから把握する

診断基準には恒常性、つまり「一過性のものでない」という裏づけが必要です。
そのため、幼少期の言動にも自閉症スペクトラムの特性が見られるかをヒアリングによって調べていきます。

 

心理検査から把握する

自閉症スペクトラムはしばしば「発達に凸凹がある」と表現されます。
素晴らしい数学力を持ちながら国語はまったくできないといった例が挙げられます。
それを判断するために心理検査のWISCを受けることも多く、場合によってはP-Fスタディという心理検査もあわせて行います。

 

普段の行動から把握する

もっとも判断基準になるのが、社会生活の中で生きづらさを感じているかどうかです。
他人から見て、当人の言動が奇異なものに思えても、本人が何かに没頭集中していて満足しているのであれば、当面は治療の対象にはなりえません。

しかし、例えば、今は未成年であり大きな問題はないが、将来的に社会人になったときに困惑するのではという見立ても必要となります。

 

さまざまな角度からできる自閉症スペクトラムの治療法

前提として、自閉症スペクトラムは完治しませんが、症状がありつつも環境に適応し、社会生活を営むことは可能です。
そのような「寛解」の状態を目指します。
ここでは寛解に向けた5つの治療法を簡単に紹介していきます。

 

治療法① 本人が自覚する

まずは本人が、生きづらさを感じていて、このままではいけないという自覚をもつことです。
そして、日々の生活がどうしたら少しでもスムースにいくようになるのかについての工夫が必要となります。

 

治療法② 家族が支援する

本人の自己理解とともに家族や周囲の人達の支援もとても重要です。 当人の特性を理解して、不得手なこと、できないことをサポートする体制を作ることで当人はかなり楽になるものです。

 

治療法③ 薬物療法

現状、自閉症スペクトラムに効く薬物は原則存在しません
しかし、自閉症スペクトラムによって引き起こされたうつ病などの二次障害を緩和するために薬物療法が行われることもあります。

 

カウンセリングで行う自閉症スペクトラムへのケア

最後に、自閉症スペクトラムへのケアの方法をカウンセリングの観点から見ていきましょう。
ここでは、本人へのケアと家族へのケアの2種類に分けて解説していきます。

 

本人に対してのカウンセリングでのケア

生きづらさを感じている自閉症スペクトラムに人に対するカウンセリングは、目標設定というものが重要になってくると考えおります。
人生の方向性が定まれば、その方向にエネルギーを注いでいけばいいのです。

ネット社会の今は、必ずしも密な人間関係をもたなくとも、社会生活を営む道は増えています。
本人に特別な能力、才能があれば、それらが発揮できるような方向に導いていきます。
絵を描くのが得意とか、文章がうまいとかいうのであれば、実際にそれを見せてもらって、さらにその個性が発揮できるように導きます。

また、真性の自閉症スペクトラムではなくとも、幼少期からのトラウマがある場合、脳内物質の混乱が引き起こされ、疑似自閉症の症状を呈する場合もあります。
その場合には、トラウマ治療が有効なのです。

 

家族に対してのカウンセリングでのケア

身近な人が自閉症スペクトラムの場合、カサンドラ症候群になってしまう可能性があります
カサンドラ症候群とは、自閉症スペクトラム当事者と適切なコミュニケーションが取れない心的ストレスから抑うつ状態になってしまう病態です。

これを避けるため「非言語コミュニケーションではなく具体的な言葉で伝える」「私は私らしいことをやっていくことで当人と適度な距離感をとる」など、自閉症スペクトラムとのコミュニケーションのコツを助言します。

 

自閉症スペクトラムは当人の個性の理解から

自閉症スペクトラムは、自閉症やアスペルガー症候群、高機能自閉症などの総称です。
カウンセリングや薬物治療が有効ですが、見えない障害とも呼ばれるだけあってまだまだ誤解されやすい障害です。
周囲の人達は、まずは当人の個性を理解することで、本人の得手不得手を明確化していきましょう。

心理相談室セラペイアでは、自閉症スペクトラムの当人、そして周囲の人にも上記に述べたようなカウンセリングをしています。
カウンセリングをご希望の方は、お気軽にご相談ください。

大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

 

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