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スペインの国家的依存症対策「プロジェクト・オンブレ」

■2019/01/28 スペインの国家的依存症対策「プロジェクト・オンブレ」

プロジェクト・オンブレとは、80年代に蔓延していたヘロイン対策から始まったスペインの非営利アディクション支援機関。

著しい成果を上げることで公的な支援を獲得し、今や毎年18000人とその家族に対応するスペインの国家的なプロジェクトになっております。

プロジェクト・オンブレは直訳すると「人間計画」という意味で、依存症者を「犯罪者」や「病人」扱いするのではなく、「人間」として支援していこうというものなのです。

スペイン各地に27個所ある施設のそれぞれで独自のプログラムがあるようですが、心理職によるきめ細かいカウンセリングや人の温かさを感じさせるグループセラピー、畑作業やマスの養殖といった自然との触れ合い、司法問題や社会復帰への手厚い対応などによって、本来の人間性を回復させることに目的をおいているプロジェクトなのです。


薬物やアルコールによる依存症からの回復ということでいえば、日本では12ステップの自助グループというものがありますが、限界もあるようです。


以前茨城ダルクの家族会に参加しましたが、代表の岩井喜代仁さんによれば、「いくらアメリカ発の12ステップのミーティングを繰り返しても、ダルクの庭で首を吊る若者が後をたたない。なんとかスペインのやり方を日本に導入したい」と言っていました。

今回のセミナーは、スペインの現場で活動をしている二人の指導者を迎えてのセミナーとワークショップ。

プロジェクト・オンブレの全体的な特徴は、単に依存症の治療ということに限らす、予防を重視して小中学校での薬物に対する教育を徹底していること、さらに、ハームリダクションという観点を採用していることです。

ハームリダクションとは「害を減少させる」という意味ですが、どうしても薬物がやめられないのであれば、せめて害を最小限に抑えるようなやり方でやりなさいということなのです。

具体的にいうと、HIVや肝炎の感染を防ぐために、注射の回し打ちはやめて、新しい注射針でやれということなのです。

そして、実際に公的機関が新しい注射針を配布しているのです。

また、ヘロイン依存症者には、ヘロインと同じような作用のある代替物質メタドンを医師が一定量処方して、医療の管理下に置くということも行っています。

病院につながることで依存症者は孤独から解放され、また、ヘロインの流通量が減少し、結果としてヘロインの依存症者も減るということなのです。

日本では薬物問題に関わる公的な機関は、厚生労働省の麻薬取締部ということで「厚労省の警察官であるマトリ」が担当しています。

依存症者は刑罰の対象者であり、社会的な落伍者としての烙印を押されてしまうのです。

もちろん、社会状況や文化風土の違うスペインのやり方をそのまま日本に適用させる必要はありませんが、依存症者に限らず、心の病を持った人全般、さらには、介護福祉の部門においても、プロジェクト・オンブレの人間性の回復という理念が日本にも広がることを願います。






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