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呉秀三の映画を観て 精神病者を閉じ込めるのはすべて悪いのか

■2018/06/10 呉秀三の映画を観て 精神病者を閉じ込めるのはすべて悪いのか

今から100年前、精神病には有効な治療法はなく、きつねやむじなが憑いているといわれた時代…

心の病をもつ人々の多くは私宅のいわゆる座敷牢に閉じ込められていました。

オーストリアやドイツの最新の精神医療を視察して帰国した呉秀三(くれしゅうぞう)は、東京府巣鴨病院(日本の精神医療の拠点である現在の松沢病院)の医長に就任し、すぐに手かせ足かせなどの身体拘束用具の廃止を実施します。
 
「夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年」はその呉秀三の足跡をひたすら淡々と追ったドキュメンタリー映画です。
 
昨年NHKで放映された「漱石の妻」のなかでは、「癇癪持ち」で「追跡妄想狂」であった夏目漱石も呉秀三の診察を受けているのです。
 
精神病の代表である精神分裂病は、現在、統合失調症という温和な名称に変更され、社会的な偏見も軽減しつつあるかと思います。
 
有効な薬が開発され、ある程度は社会復帰も可能となっております。
 
しかしながら、この映画の中では拘束具の使用が現在はむしろ増えているといっています。
 
また、ときより精神病院での拘束や虐待がニュースで報道されたりして、患者さんたちの人権の問題が取り沙汰されることもあります。
 
この映画では特に、今後の精神医療についての方向性は指し示してはおりませんが、私たちが認識しなけれぱならないは、当事者である患者さんと我々の認識にズレがあるということです。

統合失調症などの精神病の患者さんたちは、全般に幼少期に母親やそれに準ずる養育者との関わりが薄く、自分が守られているという感覚が希薄な傾向にあります。

宇宙人に誘拐されたとか、盗聴されているとか、外側から侵襲されていると感じてしまうようなのです。
 
ですから、彼らは保護を求める欲求が非常に強いのです。

確かに当時のうす暗い座敷牢への幽閉ということには差別意識が背景にあったわけですが、現代において閉鎖病棟の3畳ほどの狭い保護室には自ら進んで入ってくる患者さんは多いのです。
 
特に急性期や重度の人たちは、閉じ込められることによって安心するもので、開放病棟に行くとかえって悪化することもあるわけです。
 
そのような彼らの心の状況を知らずして、上辺だけの同情心から人権の尊重や社会復帰を叫ぶのはおかしいのではないでしょうか。


 


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