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横浜ボートシアターの「場」の力

■2019/09/04 横浜ボートシアターの「場」の力

樋口一葉原作「にごりえ」の一人語り。

横浜ボートシアターの吉岡紗矢さんの熱い語りに引き込まれてしまいました。

その団体名どおり、1981年に横浜のはしけに停泊する古船の上をステージにして演劇活動を開始。

最近は大森近辺を拠点にしている様子。

「演劇は、死者や神々、人知を超えた魔物たちを感覚する術である」というのが、主催者遠藤琢郎の信念。

演劇という「場」のもつ力というものを強調するのです。

今回は室内でしたが、船の上であれば、ことさら特別な力が働きそう…

遠藤さんのいう「場」の力とは、自然の中の大木だとか、祠というような場所のことではなくて、人と人が集まり、一体感を感じる場所ということ。

アルコール依存症の回復のためのAAの自助グループが1935年ニューヨークで発足した当初、従来の病院の治療では治癒不能だった依存症者が次々と回復して、医者たちは驚きます。

当時のニューヨークの医学会はその実態不明の回復の源泉をX因子と名付けました。

それもまたグループの「場」に働く力なのです。

小柄な合氣道の達人が、畳の上であれば、大きな関取を簡単に転がしてしまう。

しかし、場所が土俵となれば、やはり関取が強い、という話を聞いたことがあります。

やはりこれも「場」のもつ力…
 
人が集まるところに働く内面的な交流が何らかの集合的な大きな力を呼び込むようなのです。

心の悩みは主観的な部分が大きいものです。

そのクライアントの話をカウンセラーもまた主観を交えて聴く。

その主観と主観の交流の中に、深い癒しの力が働くのです。

難しい言葉だと間主観的アプローチといいます。

イエスが弟子たちに「二人または三人が私の名前によって集まるところに、私もその中にいるのです」と言っています。

まさに「場」のもつ力です。
 
今の日本、特に都心部はライフスタイルが欧米化し個人主義になっているといわれます。

しかし、欧米の個人主義の背景にはキリスト教的な文化に支えられた人々の心の交流があるわけです。

そのあたりのことが日本人には分かっておらず、うわべだけの個人主義の模倣になっているように思えます。

薬で症状を抑えられる心の病もありますが、より根源的な癒しのためには人と人の交流が必要なのです。

横浜ボートシアターでは、宮沢賢治の童話もやっているようなので是非とも観てみたい。


 
 



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