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3.11…そしてコロナ禍の中での「完全版マハーバーラタ」

■2021/08/25 3.11…そしてコロナ禍の中での「完全版マハーバーラタ」

「完全版マハーバーラタ」は、インドの国民的な叙事詩を、空間演出家の小池博史が前半(愛の章)3時間、後半(の章)3時間の計6時間に及ぶ舞台芸術に仕上げたもの。

もっとも、「マハーバーラタ」のサンスクリット語の原典の分量はなんと聖書の四倍もあるという世界最長のスぺクタル叙事詩。

今のところ、その原典からの日本語の全訳はないのですが、聖書は約2000ページなので、8000ページもあるのかな??

その壮大な物語を6時間に収めるというのは、むしろ、かなりのダイジェスト版ともいえる…


あいにくのコロナ禍の影響でキャンセルが相次いだようで、会場には空席が目立つが…

日本、インドネシア、タイ、マレーシアのトップダンサーが濃密な空間を創作する。

「わかろうとするな。踊ろうとせよ」ということらしい…

その音楽と舞踊からはインドの熱い大地のエネルギーが伝わってくる。

20年以上前にインドに行ったときのことを思い出しました。

ストーリーは、数千年前の古代インド~~~

水の女神ガンガーの子孫とされるバラタ族が2つの家に分かれ、愛慾にまみれ、憎み合い、戦いを繰り返したあげく、最後には両方とも滅びるという哀れな話。

「そして、誰もいなくなった」…というわけ。


小池博史は、3.11の大津波と福島原発のメルトダウンという衝撃的体験から、「マハーバーラタ」を舞台芸術に仕上げたという。

バラタ族の戦闘シーンの舞台背景のスクリーンには、大津波や原子爆弾のような雲が映し出される…

「マハーバーラタ」の一節には、「千の太陽が天空で一時に輝く」ような明るさで「何もかも奪い取る死神、宇宙を揺り動かすもの」というフレーズがある。

最終兵器???

1万年前に核戦争があったのか???

かつて広島に原爆が落とされたときの惨状を知って、その開発に携わったオッペンハイマーは、「われは死神なり、世界の破壊者なり」という「マハーバーラタ」の一文を呟いたという。

今回の「完全版マハーバーラタ」はすべてアジア人のスタッフを担当し、東洋的な雰囲気を醸し出しているが…

元々「マハーバーラタ」は、インドに侵入したアーリア人の物語だと考えられている。

アーリア人とは、欧米人の祖先でもあるわけで、「マハーバーラタ」に表現された世界観は、東洋のみならず西洋も含めた普遍的なものであると感じました。

なぜ人間は戦争を引き起こすのかというアインシュタインからの質問に対して、フロイトは人間にはエロス(生の本能)とともにタナトス(死の本能)ももっているかだと説明している…

「マハーバーラタ」はすべての人がもっている破壊性の表現なのかも…


物語の最後、生き残った5人の兄弟はヒマラヤを目指すが、途中で次々と死んでしまい、バラタ族は消滅する。

ヒマラヤは、シヴァがいるところらしい。

シヴァは恐ろしい破壊の神ではあるが、ヒンズーの三大神の中では一番人気のある神。

ヒマラヤの雪が溶けだしてガンガーが氾濫を起こし、洪水となり、大地を飲み込んでしまう…しかし、その洪水によって大地が肥沃さを取り戻し、命が再生する…

「マハーバーラタ」はすべてが破壊されて終わるが…

しかし、そこから新しいものが生まれるのかも…

destructionの時代が過ぎると、次はcreationつまり創造性の時代に移行する… 

3.11から10年経ち、コロナ禍の苦難が続く現在、私はそのように受け取りました。

それにしても、複数の役を受け持って…仮面を着けたり…衣装を変えたりして…

ほとんど休まず6時間を綺麗に踊りきるダンサーたちの運動能力の高さとスタミナには驚嘆しました。


 



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