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三島由紀夫原作オペラ「金閣寺」

■2019/02/25 三島由紀夫原作オペラ「金閣寺」

三島由紀夫原作、宮本亜門演出ののオペラ「金閣寺」。
 
1950年に実際に起きた金閣寺放火事件をモチーフにした作品です。
 
「 (悟りを得るために)仏に逢うては仏を殺せ」という臨済宗の言葉を引用して、腕に障害のある自分の救いのためには「(美の極致である)金閣寺を燃やさねばなぬ」という主人公溝口の考えは狂気的であり、全くの詭弁としか思えないものです。
 
そして、オペラの最後では、金閣寺を焼き払い、自らも奈落の底に落ちいてく溝口の姿は、陸上自衛隊市川駐屯地で割腹自殺を遂げた三島と重なるものがあります。
 
その事件の二年後には懇意にしていたノーベル賞作家川端康成も自死しますが、天才の心理というものは凡人には計り知れないところがあります。
 
また、三島の原作とこのオペラとでは、細部でいろいろと相違があり、三島の真意がどこまで反映されているかという問題もあるでしょう。
 
そのうえでの、あくまでも私なりの解釈ですが、精神病になりかけた人が経験する「自分が崩壊していく恐怖」というディープな感情が、主人公溝口、そして、三島自身にもあったようなかんじがします。
 
三島の自伝的小説「仮面の告白」は同性愛をテーマにしており、三島自身にもその傾向があったと推測できます。

しかし、肉体的なコンプレックスからボディビルを始め、極右的な盾の会を結成。
 
多面性をもっていた三島は自己統合に苦しんでいたと推察されます。
 
自分か崩壊して、無意識の海の中に溺れ、吸い込まれていく恐怖の中で、あがき、もがき、「金閣寺を焼かなければ」という強迫的な思い込みにとらわれていく。
 
黛敏郎作曲のオペラの音楽がまたその強迫感を煽る…
 
精神病とは、主に統合失調症を指しますが、我々もまた、日々の生活の中で一時的に精神病圏に入ることがあるものです。

 詐欺にあったりした後なんかには、なんでこんなことで騙されたのか、と後悔するようなことは一度や二度は多くの人が経験しているのではないでしょうか。

さらに、ちょっした度忘れ、勘違の類も含めて、瞬間的にそちらの世界に入ってしまうことがあるものです。
 
マインドコントロールされて犯罪を犯してしまったオウムのエリート信者たちについても、精神病圏という見方ができます。
 
この「金閣寺」、さらに輪廻転生をテーマにした「豊饒の海」にしても、その筋書きはやや荒唐無稽にも思えますが、すべての人間に共通する心の狂気と闇にフォーカスしているかんじかします。
 
そのあたりの深みが三島文学の大きな魅力であるかと思います。






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