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「ゆきゆきて、神軍」の原一男監督

■2018/08/12 「ゆきゆきて、神軍」の原一男監督

かつて恩師の精神科医斎藤学からパラノイア(偏執病)の実例としてドキュメンタリー映画「ゆきゆきて、神軍」を観るようにいわれ、DVDで奥崎健三を知りました。

今回は渋谷アップリンクで、その「ゆきゆきて、神軍」の絶叫上映という企画。

上映中、もちろん他者に迷惑をかけない範囲ということで、発声、コスプレ、サイリウム、光りもの、タンバリン、鈴の使用可能というもの。

奥崎の過激なパフォーマンスにギャーギャー。

熱い夏にふさわしいイベントです。

たったひとりの「神軍平等兵」として日々街宣車で過激なアピールをする奥崎謙三は、戦時中のニューギニアから帰還した日本兵を一人一人に執拗に問い詰め、極限状態の中で起きた人肉食の実態を暴いていく。

ドキュメンタリー映画は撮り始めてから、思いがけない事実がみえてくることが多いよう…

それだけであれば、奥崎謙三は正義の士ということなのですが…、彼の心の中にある得体のしれない暗闇もまた見えてくるのです。

アクションドキュメンタリーの鬼才である原監督の特集ということで、「ゆきゆきて、神軍」以外にも、

脳性まひ者の生活の実態を描いた「さよならCP」、

国を相手どったアスベスト裁判を追った長編「ニッポン国VS泉南石綿村」、

作家井上光靖(瀬戸内寂聴の愛人だった、いや、出家後も…)の生い立ちや経歴の虚構を浮き彫りにした「全身小説家」などが上映されていて、

さらに年内には水俣病裁判についての新作が発表予定。
 
原監督の作品は、登場人物に対して変な同情同化はせずに適切な距離感を保ちつつ、あるがままの姿を映し出す手法でカウンセリングにも通じるもの。
 
原監督は挨拶の中で「私の映画は一度観たぐらいでは本質的なテーマが分からないように作ってあるんですよ」とのこと。

人間の本質についての深い洞察が隠されているのです。




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